星矢関連二次創作サイト「アクマイザー」のMEMO&御礼用ブログ
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友人がベタを飼いました。
「青いから名前はサガさんかな」
友人はとりあえず青いのがサガ、そしてその弟がカノンという事は覚えていますが、青いという部分しか覚えてくれていないので、アニメのカミュとサガをよく混同しています(髪が青っぽいかららしい)。

そんなわけでサガさんと命名されたベタですが、闘魚なところは意外とサガに合っているかもしれないなと思いました。殺しあってしまうため、二匹同じ水槽では飼えないのだ…!

しかし、二匹一緒に出来ないはずのサガ闘魚が、シュラ闘魚や蟹闘魚や魚闘魚(←『上から読んでも下から読んでも山本山』的)とは何故か仲良く共存してたりすると萌えます。カノン闘魚とも聖戦後なら…!

で、手間隙かけて美しくされたベタを「ショークオリティベタ」というらしいのですが、サガはまさに神のような闘魚に違いない!美しくひれを広げて威嚇(フレアリング)するんですが、威嚇じゃなくて魅了になってるのです。

アイオロス闘魚と一緒にされて、アイオロス側は友好的なのにも関わらず、その習性から彼をも容赦なく殺してしまったサガが、アイオロスの死体が下へ沈んでいくのを見て、初めて自分がアイオロスを好きだった事に気づいて大泣きすればいいよ!

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目の前の闘魚は、今までアイオロスが見たことのあるどんな魚よりも綺麗でした。ふわりと広げられた尾びれが細やかにさざめき、美しくも鋭い眼光で睨まれたときには、世界が彼だけで埋まってしまったかのように感じました。その闘魚の動きは優美な刃のようで無駄が無く、いやがおうにも視線を惹き付けます。直後に容赦ない攻撃を受けて、ようやくその動きが威嚇であったと思い出したくらいなのでした。
慌てて距離をとり、アイオロスはその闘魚に尋ねました。
「ねえ、君の名前は?」
「わたしの領域を荒らすお前が先に名乗るべきだろう、侵入者よ」
「荒らすつもりはないんだけど。俺はね、アイオロスという」
「わたしの名はサガ。お前の意図が何であれ、わたしの目に映るかぎり、わたしはお前を排除しなければならない」
闘魚はとてもテリトリー意識の強い魚です。会話可能な範囲にいるということはすなわち、攻撃対象とされることを意味するのです。しかし、二匹のいる水槽はあまり広いサイズではありません。つまり、アイオロスは観賞用に…サガと闘わせるために新しく水槽へ追加された魚なのでした。
けれどもアイオロスはあまり闘いたくはありません。彼はベタであるサガと同じゴクラクギョ亜科ではありますが、もう少し平和な属の魚だったのです。
「仲良く出来ないのかなあ」
「何を馬鹿な事を」
「だって二匹しかいないのなら、闘うより友達になった方が楽しいだろ」
サガにとっては、見敵必殺が正義であり本能です。そのように生まれ付いているのです。アイオロスの言っている事がさっぱり理解出来ません。
「友達というのは何だ?」
そんなサガの様子をみたアイオロスは、丁寧に説明をしようとして考え込みました。しかし、いざ教えようとしてみると上手い言葉が浮かばないのです。
「そう言われてみると、友達って何だろうなあ」
「ふざけているのか」
「いや、説明しようと思うと意外と難しいんだよ」
アイオロスは慌ててサガの攻撃を躱しつつ答えます。アイオロスはなかなか素早い魚で、そう簡単にはやられない自信もあったのですが、サガは綺麗なだけではなく、とても強くスピードもある魚のようでした。直ぐに回り込んでニ撃目を加えてきます。
薄青色から濃紺へと変わる鮮やかなグラデーションの尾びれを目一杯広げ、一心にフレアリングをする姿は、大輪の花が咲いたかのようでした。
「何故、お前は攻撃をしてこない」
サガは怪訝そうに(それでも攻撃の手を休めずに)聞きました。
「だってやり返したら、君が怪我をしてしまう」
「当たり前だ。そうして、どちらかが沈むまでわたしたちは闘うのだ」
「どうして?」
サガは一瞬詰まりましたが、直ぐに言い返します。
「お前がわたしの目に映るからだ」
どうどう巡りです。

しかし、逃げもせず立ち向かいもしない相手というのは、サガにとって初めてでした。テリトリーを侵すつもりがないという言い分は、どうやら本当のように思えます。しかし、この水槽空間が二匹の居住を許すだけの広さがない以上、闘魚としては攻撃するしか出来ないのです。
敵意のない相手へ一方的に攻撃をしかけるのは、何となく嫌な感じがしました。そして、そう感じるのも初めてのことでした。
サガは実は基本的に優しい魚です。けれども、闘魚としての性質は彼に攻撃の続行を命じました。闘魚へ闘うなということは、息をするなというのと同じ事であり、生物が本能を消す事は不可能です。
目の前でぼろぼろになっていくアイオロスを見て、そろそろ止めたいと思っても、それはサガには出来なかったのです。
「そんなに傷ついて、もう友達とやらになるのは無理だろう」
思わず零したサガでしたが、それでもアイオロスはマイペースでした。
「そんなことないさ」
「だが、傷つけたわたしを憎いだろう」
「これはサガのせいじゃないよ」
アイオロスは微笑みます。
「闘うように生まれついたのは君のせいじゃないし、ここにこうして二匹でいることも君のせいじゃない。全部神さまが決めたこと。この限りある水槽という世界を作った神さまの」
サガはびっくりして少しだけ攻撃の手を休めました。
この水槽で生まれ育ったサガには、この世界はこうあるのが当たり前のことで、神がどういう意図で世界を作ったのかなどということは、考えた事もなかったのです。
「でもね、俺は別に神さまに逆らおうとか思っていない。ただ、君が綺麗だから攻撃できないだけ」
「綺麗?」
「ねえ、友達になろうよ」
アイオロスのヒレはもうほとんど破れていました。
歌うようにサガを誘った後、彼は静かに沈んでいきました。

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みたいな。今度ちゃんと書き直そう…
友人のベタ1匹でどんだけ妄想広げているんだ。でもありがとうTちゃん。
今日もぱちぱち有難う御座います(^^)
「夕飯なんだが、生きてる魚の刺身とかあるじゃろ、ビチビチ動くやつ」
「活造りでございますね」
「あれが苦手なので、夕飯から外してくれんかね」
「お客様がお申込みのバイキングプランのメニューに、活造りはございませんのでご安心ください」

バイキングメニューのプランなら、たぶん日本全国大半のホテルで安心して良いと思いますお客様…!

それはさておき帰宅したらLCのDVD-VOL.2が届いてました!もうそんな時期ですか!わーいわーい!
パッケージの表紙は童虎とシオンです。裏側にはハーデスの配下にさせられたケルベロスたちがいます。な、なんだかこの白銀たち可愛い!聖闘士の冥闘士化が大好きという駄目管理人なので、このシーンは非常に楽しみです。次のお休みにでも大事に観させてもらいます!

そんでもって海界での双子妄想
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兄は無理をしているのではないか。
カノンがそう思ったのは、ソレントの何気ない一言からだった。

「貴方の兄上は、何だかいつもキラキラしていますね」

半ば感嘆、半ば呆れながらの発言にソレントの視線を追うと、そこには海闘士たちに囲まれるサガがいた。
キラキラといっても、別に物理的に光っているわけではない。彼の発する独特の雰囲気を形容すると、そういった表現になってしまうのだ。

サガが現れるとその場の空気が変わる。他者を圧倒し、それでいて包み込む穏やかな小宇宙が静かに広がっていく。『神のような』と言われた過去は伊達ではなく、いまも他界陣営の人間ですら簡単に惹きつける。
カノンは眉をひそめた。その『キラキラ』が、聖域に居るときに比べると、随分と増大しているように思えたのだ。

あのキラキラは偽善による外面の取り繕いであるというような、表面的なものではない。もっと壮絶な、サガの内面を常に切り裂く相克あってのものなのだ。己の中の闇を抑える為に、光もまた強くあろうと輝く。輝くほどに闇は濃くなる。深部の大渦はギリギリのところまで拮抗し、その拮抗が表面上の平穏と煌きを作り出す。
二匹の龍が絡み合いながら天を目指すごとく、相反しつつも高みを目指した二人のサガのありかたを、気高いとすらカノンは思う。

だからこそ、もしも馴れぬ海界で隙を見せぬよう振舞っている結果、あのようにキラキラしているのならば、気を張る必要はないと言ってやりたい。海界で自分の傍にいるときくらい、寛いで欲しいのだ。

また、大勢に慕われるサガの様子は、13年前のただひたすら輝かしい兄を思い起こさせた。人々に好かれること自体は悪くないのだが、あの頃サガを取り囲む他人が増える分、カノンからは遠ざかって行った。
今は違うのだと判ってはいる。それでも昔と同じ感情が顔をだしてしまう。

「おいサガ」

思わず声をかけると、サガは海闘士たちへ会釈をして会話を切り上げ、こちらへと歩いてきた。小首をかしげて『何だろうか?』という顔をしている。
カノンは己のささくれが癒されるのを感じて、僅かな時間その感覚を噛み締めた。
呼びさえすれば、サガはカノンを選ぶのだ。人前でサガを呼ぶことの出来ぬ昔はその事が判らなかった。そのせいで、いつでもサガが自分より他人を、聖域を選んでいるのだと思い込んでしまっていたが。

去来する想いを一旦横へ置き、カノンはサガへ視線を合わせる。
「お前さ、聖域に居る時と少し違わないか?」
指摘すると、サガはきょとんとした顔をして、それから「ああ」と言った。
「海界では少しだけ普通にさせてもらっているからな」
「ふつ…う?」
疑問符を浮かばせたカノンへ、サガは目を伏せ遠慮がちに告げた。
「聖域では罪人たる私が目立つと傷つく者もいるゆえ、出来るだけ己を殺し、小宇宙も抑えて控えめにしている…しかし海界で同じように振舞うことは出来ぬ」
「何故だ」
「私が偽教皇だったからだ」
サガはきっぱりと言い置き、苦笑した。
「卑屈に身をかがめた結果、海界の者たちに『聖域はあの程度の男でも教皇が務まったのか』と思われるわけにはいかないのだ。私ではなく聖域の名誉に関わる。それゆえ気は引けるが、こちらでは多少楽にさせてもらっている」
「……」
どうやら心配の方向は逆だったらしい。
サガは海界で無理をしているのではなく、聖域の方で抑圧を強いられているのだ。そして、過去の罪を思えばそれは避けられぬことだ。贖罪から逃げろとは言えない。
それなら、自分はもっとサガを甘やかそうとカノンは思った。
「お前もっと海界に遊びにこいよ」
「カノン…」
「海界では、少なくともオレの領域の北大西洋のエリアでは遠慮するな」
「…ありがとう」

カノンの言葉を素直に受け入れたのか、キラキラが更に強まっていく。
間近でサガの小宇宙をうけ、カノンは気づいた。この輝きはかつての相克で磨かれた小宇宙ともまた別のかたちだった。サガの中の光と闇の和解による平安の輝き。
相身互いに削りあうことなく、なにも抑えることなくサガが本領を発揮したならば、『キラキラ』はもっと凄いことになるのだろう。

「遠慮しないのは結構ですが、うちの海闘士たちは純朴なんですから、そういうのは二人だけの時にやってください」

隣から釘をさすソレントの声が聞こえ、抱き合おうとしていた双子は我に返ると慌てて互いにその身を引いた。

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夏が終わる前にロスサガも!
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「なあサガ、夏だし花火を見たいとは思わないか」
サインを終えた書類から顔をあげ、アイオロスは同じ執務室の中で仕事をしている黒サガに話しかけた。
「夏と花火の因果関係が分からん」
当然のように黒サガはそっけない。そもそもアイオロスの前に黒サガ状態で現れること自体、サガのアイオロスへの距離感と遠慮を表しているのだが、アイオロス側はそんなことにお構いなしだ。
「日本には納涼という言葉があるのだそうだ。空いっぱいに花火が打ちあがったら、それは綺麗で涼しげだろうね」
「ギリシア・ヒオス島伝統の花火戦争のようなものか」
「普通の打ち上げ花火でだ。たしかにロケット花火乱射祭りのほうが君は好きそうだが…」
言いながらアイオロスは、次の決済書類に手を伸ばす。予算に関わる文面を一読し、またサインを入れようとしてその手が止まった。何かを思いついたのだ。
「なあ、聖域で花火大会しないか」
「…は?」
アイオロスの提案にサガの手も止まる。
「聖域の皆にも、たまには息抜きや楽しみが必要だと思うのだ。女神も戻られて聖域も安定している今、多少の娯楽はあっても良いんじゃないかな」
サガはアイオロスの顔を見て、それでも無視をすることなく冷静に尋ねた。
「予算項目は?」
「遊興費」
「……違うだろう」
「……ええと、福利厚生枠」
言いなおしたアイオロスだが、黒髪のサガは冷たくあしらった。
「フン、まだそちらの方が通しやすいだろうが、駄目だな」
「何故だ?城戸財閥のバックアップ体制が出来てから、予算には多少余裕があるぞ」
「余裕はあろうが、聖域に火薬の持ち込みは許されていない」
初めて聞く内容に、アイオロスの目が丸くなる。
「確かに火薬は武器につながるものとして聖域には不要というスタンスだったけど、禁止とまではされていなかったんじゃないか?」
「わたしの施政下で禁じた」
黒サガは止めていた手を動かし、再び書類の整理を始めた。パラパラと資料をめくっては、内容ごとにより分けてファイルにまとめている。アイオロスはまだ目を丸くしていたものの、納得して頷いた。
「なるほど、君の統治に不満をもつ者たちが火薬を手にしたら、聖闘士相手の攻撃力としては脅威にはならないかもしれないが、力のない者まで簡単に派手な器物破壊活動が出来るようになり、人心を動揺させやすくなる。いや、統治支配以前の問題として、手軽な破壊力を目にした聖闘士候補生が、肉体や精神を鍛えるよりも道具へ走りやすくなる…潰せるリスクの芽は事前に潰して置くのは賢いやり方だ」
「そういうことだ」
「まあ、火薬の持ち込み禁止自体は問題ない気がするな。聖域の理念的には正しいし、聖闘士の力があればダイナマイトも必要ないし」
でも、とアイオロスは食い下がった。
「多少の融通はきかせようよ。教材用はOKとかさ…そうだ、原子を砕く仕組みを教えるように、酸素を要さない酸化の原理を実感してもらうのには丁度いいんじゃないか?物質を燃焼させたり爆発させたりする小宇宙の扱い方を学ばせて、そのあと花火を見てもらって効果の一例を…」
呆れたように聞いていたサガが、途中でふーと溜息をついた。
「……そんな無理矢理感ただよう言訳をつけずとも、特例を設けやすいイベントが、来月の頭にあるだろう」
「9月あたま…?あっ、アテナ聖誕祭か!」
「そうだ」
「そうか、女神を祝うための花火なら文句も出ないし自然だな!」
アイオロスは立ち上がり、サガの傍へ寄っていくと、その頭をぎゅーっと抱きしめた。
変わらずサガはにべもない。
「そういうことは、もう一人のわたしの時にやれ」
「あ、もう一人の君になら許可してくれるんだ?」
「フン、『わたし』は関わりたくないだけだ」
アイオロスの腕の中で、豊かな黒髪が色を変えていく。闇夜の中から月が輝くように、美しい銀髪が現れると、射手座はぎゅうと再び双子座を抱きしめた。
「その時は、一番良い席で一緒に花火を見よう」
表に出てきたばかりの白サガは、それでも話は聞いていたようで、もぞもぞ腕の中で身じろぎながらもキッパリと告げる。
「駄目だ」
「ええ!?」
予想外の否定に、反駁しようとしたアイオロスの唇をサガの指が押さえた。
「一番良い席は、アテナ用だろう」
目を瞬かせたアイオロスが、次の瞬間至福の笑顔を見せる。
そのまま腕の中のサガに口付けようとしたものの、しかしそれは業務中ゆえに許可が下りなかった。

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夏ときたら花火ネタですよね。王道のお祭りデートネタも書きたい。
今日もぱちぱち有難う御座いました!日々の癒しです!
「死んで償え」はアイオロスの台詞ですが、この言葉からみても、聖域では死による償いという内容はスタンダードな、しかるべき詫びの方法なのかなという感じがします。戦士的なんですね(現代的な感覚による是非論は横へおき)

サガはその言葉どおり死んで償った(死後も償い続けた)人ですが、アイオロスとアイオリアの間で12宮編あたりの思い出話になったとき、アイオロスは自分のその言葉をどう片付けるのかなとか妄想します。
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「あのとき『死んで償え』と、兄さんの魂は俺を叱ったんだよな」
他愛もない会話のさなか、アイオリアがふと零した。
「本当に死んでしまえと思っていたわけではないぞ」
アイオロスが返す。言葉に出さずとも伝わっているだろうけれども、出しておいた方が良い形もある。
「分かってる」
アイオリアは組んでいる指をもぞもぞと動かした。
そして小さな声で付け足す。
「サガは本当に死んで償った。あの時兄さんの言葉を思い出した」
「……」
「兄さんとサガは似ている」
アイオロスは黙った。
否定も肯定もしない兄をみて、アイオリアもまたそれ以上の言葉を呑み込み、沈黙を味わう。
(俺は大切な人が罪を犯したとき、兄さんのように死のけじめを求める事が出来るだろうか)
考えても、まだ答えは出なかった。

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サガが昔のカノンの誘惑を受け入れて、二人で聖域に反逆した場合。
たとえそれが女神の前に敗れて失敗に終わったとしても、それはそれでカノンは幸せになれると思うのですよね。状況的には周囲も本人たちも不幸ですが、カノンはきっと満たされるに違いない。

そんなわけで「もしも」な双子反逆妄想。
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13年間の権力は、本物の女神の帰還により、あっけなく崩れ去った。
力による聖域支配は完璧だったと思う。何せオレとサガが揃っていたのだから。女神とその配下の青銅どもの強さが反則的すぎるのだ。市井に育っても神は神ということか。しかも常勝の女神だ。どうしてその強さを13年前に見せなかったのだ。
教皇宮は火に包まれている。フェニックスとの戦いの時に揮われた炎が、垂幕にでも飛び火したのだろう。あんな小僧に負けたのは納得がいかないが、それも正義の小宇宙と女神の加護とやらの差なのかもしれない。
けふ、と血を吐いてオレは倒れたまま天井を見上げた。黒い煙が壁を伝って上へ昇っていく。パチパチと何かの爆ぜる音がする。おそらく、この部屋も長くない。
「カノン」
ふいに涼風のような、この場に相応しくない柔らかな声がした。
何とか首を捻って横を見れば、重厚な教皇の法衣を身に纏ったままのサガが、オレを見下ろしている。
「女神は本当は強いのだな」
そう言いながらも、浮かぶ表情に悔しさはさほど見られない。おっとりと微笑む姿は昔のままで、女神よりもよほど神様のようだとオレは思う。
「…何を…している、逃げろ」
オレはもう助からない。だがサガは。
双子座がその名のとおり双子であると知るものは聖域にいない。密かに入れ替わる事によって、オレ達はこの聖域を表と裏から掌握してきたのだ。オレが反逆者ジェミニとして死ねば、少なくともサガは追われない。永久に聖域から自由になれるはずだ。
サガは屈み込むとオレの手を握った。
「わたしたちは、ずっと一緒だろう?」
その瞬間にオレを包んだ幸福と、生まれて初めての後悔は、どちらが大きかったのか。
光の道を歩んでいたサガを、オレは強引に闇へと引きずり込んだ。悪を囁き、誘惑し、あらゆる手段を使って振り向かせた。二人でシオンを殺し、アイオロスを排除し、そして…
そして聖闘士としてのサガは13年前に死んだ。

これで良かったのだろうか。
サガには別の道があったのではないだろうか。
オレがサガと二人で征く道は、他になかったのか。
「カノン、わたしは後悔していない」
心を読んだかのように、サガが笑う。サガが笑うほどに胸が痛む。
この痛みは天罰なのか。女神よ。
柱が崩れ、火の粉が互いの身体へかかる。サガの法衣も燃え始めた。炎に長い髪をまかせているサガは、この上もなく美しかった。

オレはサガの手を握り返した。何であれ、たとえ神であろうと、繋いだこの手を解くことは出来ないのだ。それだけは確かだ。
たった1つの勝利を胸に、オレはサガの名を呼んだ。

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今日もぱちぱち有難う御座います!元気の素です(^▽^)
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