昨晩は帰宅したら家に誰もおらず、暫くしたら救急病院から左手を骨折した母が父に付き添われて帰ってきました。あわあわ。左手でまだよかった。しばらく家事は他の家族で持ちまわりです。
そんなわけで家事ネタ。
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「貴方は、ちゃんと家のことを手伝っているのか?」
アフロディーテに問われたカノンは、それがどうしたという顔で返した。
「きちんと半分ずつ担当している」
「ほう、全て兄任せではないとは意外だが、どのような分担なのだ?」
実はカノンは家事全般についてサガと同等以上のスキルがあるのだが、まだカノンを良く知らぬアフロディーテが多少の色眼鏡をもっているのは仕方がない。何せ、双児宮を尋ねると、紅茶の用意などをして客を出迎えるのは必ずサガのほうなのだ。来訪時に動く様子のないカノンを見知っているアフロディーテは、すっかりカノンを手伝わぬ居候状態だと思い込んでいた。
「料理を作るのがオレで片付けるのがサガ、風呂を沸かすのがオレで風呂掃除がサガ、掃除洗濯がサガでゴミ出しがオレ…」
「ちょっと待ってもらおう。何だその世間の夫が『家事を手伝っていると言いつつ楽な分担しかしていない』という典型的な状況は」
「失礼な、よく聞け、これが一番効率的なのだ」
「共働きかつ収入は同等の貴方たちが、どうそれで効率的なのか聞きたいものだが」
全く言い分を信じていないアフロディーテに、カノンは肩をすくめた。この後輩がサガびいきであることは、短い付き合いでも直ぐに知れた。おそらくカノンがサガに負担をかけているのではないかと老婆心を出しているのだろう。
カノンは諭すように説明した。
「まず、料理をサガに任せる事をどう思う」
「う…それは…」
「風呂はサガのほうが長風呂だし良く使う。オレが先に入って、後からゆっくり浸かったサガが最後に湯を抜いて洗うことになっているのだ」
「な、なるほど」
「オレは海界勤務の遠距離通勤だから朝が早い。それゆえ、出仕がてらゴミ出しを行う。十二宮勤務で余裕のあるサガが洗濯掃除をする。何かおかしいか」
「………おかしくないな」
「だろう」
しかし、とアフロディーテは食い下がった。
「ならば何故、来客時にサガしか動かないのか」
「別にそういうわけではないが…ただ、サガの淹れた紅茶だけは美味いのだ」
今度こそ納得してアフロディーテも矛を収める。
「皆は貴方の紅茶も飲んでみたいのではないかな。特にあの冥界の男など」
「…何故そこでラダマンティスが出てくるのだ」
一瞬詰まりながらも、カノンは気まずそうに視線を逸らした。
(ああ、この人はやはり時折、少しだけサガに似ている)
アフロディーテは複雑な気分で、サガと同じその横顔を見つめた。
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今日もぱちぱち有難う御座います(>▽<)お返事は夜にさせて下さい。
サービス業仲間さま、サガでの喩えに笑わせていただきました!