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「記憶が巻き戻っているとは、どういうことだ」
出されている手を振り払い、食って掛かる勢いでポセイドンへ尋ねる。しかし、答えが返る前に部屋の扉が突然開いた。
びくりとそちらを見ると、そこには白の法衣を着たサガが慌てもせずに立っている。敵神の前であるというのに何故そこまで落ち着いているのかが判らない。いや、サガは簡単に動揺するような男ではないが、何か違和感を覚える。
法衣の裾を床に滑らせるようにして、サガはゆっくりと歩いてきた。
「カノン、あれほど世話になっておきながら、ポセイドン様を忘れるとは」
「何の事だ」
「わたしの事も忘れてはいまいな?」
サガは常にきらきらと神のような小宇宙を振りまいているが、それは海神の前でも変わりなかった。不自然なほどにいつもどおりのサガは、真っ直ぐに寝台脇まで進みより、オレの顔を覗き込む。
「サガ、一体全体何なのだ。何故ポセイドンがお前を呼ぶことが出来るのだ。オレがポセイドンの世話になっただと?」
どこか気持ちの悪さを感じながら、矛先をサガへ向けると、横からポセイドンがそのサガの肩を抱いた。サガは特に嫌がる素振りも無く、好きなようにさせている。
そうしてみると、ポセイドンとサガは自分の知らぬ間に知己を結んでいたのだろうか。しかし、くそ真面目で聖域かぶれのサガが、敵神と通じるようにも思えない。神嫌いのサガの中の闇の精神はなおさら。
では何らかの精神支配をポセイドンから受けているのだろうかと観察するも、そのようには見えない。
衝撃を見透かしたかのように、ポセイドンが口を歪めて笑った。
「何もおかしくはない。この者もお前も、共に我が海将軍なのだから」
「ありえない」
オレは断言した。オレはともかくサガがというのはありえない。オレが記憶を失っているというのは確かなようだが、おそらくそれを利用して海神が双子座に何らかの罠をしかけようとしているに違いない。
「サガ、説明しろ!」
だが、そのサガはにこりと微笑んで言い返した。
「本当に忘れてしまったのだな。わたしはリュムナデスだ」
その口調はあくまでいつものサガそのものだった。
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わー時間がなさすぎる。また夜に推敲+書き足しするかもです。
仕事に今日もいってきます。
そしてサガが年下の相手の面倒を見ているところを想像するのが好きとおっしゃるnanamiさんのお言葉に超同意です。サガの面倒見のよさや、他人のために頑張る利他精神がいかんなく発揮されるのが年下相手のときですよね!15歳時のカノンが28歳のサガを見たときの反応を考えるのをオカズにしても、結構ごはんがお代わりできます。いつも素敵なコメントを有難う御座います!
ほかパチパチ下さった皆様に御礼申し上げます(^^)頑張って連休を乗り切ります。