今日も職場でクリスマスダンスパーチーイベントをこなさねば…もうそんな時期なのですね。あっ、そろそろ自分用クリスマスプレゼントに注文していたLCのDVD4巻が届く頃ではないですか。そして明日のクリスマスイブはチャンピオンと戦う日ではないですか。友達からケーキも貰えますし、仕事で終わるけど豪華なクリスマス予定!
なのにまだ冬至ネタSSとか…昨日寝ちゃったから…
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サガが沙織の私室へ議会の資料を届けに行くと、彼女は衛星放送を楽しそうに眺めていた。映っているのは日本の動物園らしく、柚子の入った湯に浸かるカピバラがのんびりと目を細めている。
沙織はサガに気づくと振り返って微笑んだ。
「あれは日本の冬至の行事なの。懐かしいわ」
「そうなのですか」
「あのように風呂に漬けて、無病息災を祈るのです」
神である沙織が一体どの神に祈るのだろうかと、サガは内心で思いつつも微笑み返した。
「では、本日の湯浴みは日本式に致しましょう」
「あら、ギリシアであれを入手するのは大変ではないかしら」
「そのようなことはございません。聖域の交易網は世界中に広がっておりますし、いざとなれば聖闘士が日本までテレポートすれば良いのです」
戦いに明け暮れる女神が、日々少しでも寛げるようにと、サガは常日頃から彼女の身の回りの事を気遣っている。それを知っている沙織は、今日も心の中が少し温かくなるような感覚を覚えた。
サガが柔らかな笑顔で沙織に尋ねる。
「それで、何匹くらい浸けましょうか」
「サガ、浸けるのはカピバラではありませんよ」
しかし、それはそれとして、沙織は冷静にサガへ突っ込んでおいた。
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デフテロスが部屋の片隅でなにやら作業をしている。
覗き込むと、弟は鈎針を器用に動かし、編み物を行っていた。弟にそんな技能のあることが意外であったが、考えてみればカノン島での修行時代は基本的に自給自足のはず。本格的な衣服はともかく、身の回りの簡単な必要品は自分で揃えなければならなかったのかもしれない。
「何を作っているのだ?」
尋ねるとデフテロスは手を動かしながら答えた。
「マフラーを…その、兄さんの」
弟の手編みのマフラー。
一瞬、遠い目で逃げ出したくなった自分を叱咤して会話を続ける。
弟が俺のために防寒具を用意してくれているのに、そのように感じるのはおかしいだろう。天魁星の闇の一滴とやらのせいで、感情の発露が歪まされているに違いない。
「そ、そうか、しかし少し長くは無いか」
「しめやすいようにと思ってな」
…首を?
イカン。つい弟を疑いの目で見るクセがついてしまっている。俺は再び反省した。
「有り難いが、お前の分がないだろう。これから自分のも編むのか」
デフテロスのことゆえ、またペアルックとやらを目指すのかもしれんと心の片隅で考えていると、ぼそりと返事が返った。
「一緒に使わせてもらおうと思って…長めに…」
「………」
今さっき反省したばかりだというのに、また逃げ出したくなった俺は学習能力がないのだろうか。落ち着け俺。つまり、マフラーが長めなのは、二人分の肩に巻きやすいように、締めやすいようにということか。なるほど。やはり先ほどの疑いは杞憂だったではないか。
ここは喜ぶべきなのだ。
「ありがとう、デフテロス。出来上がりを楽しみにしている」
そう言うと、弟は照れたように横を向いた。表情はあまり変わっていないが、俺には弟が喜んだのが判る。
(デフテロスが喜ぶのならば…まあ、いいか)
弟のその顔を見たら、逃げたくなっていた気持ちも引いていくのが感じられて、とりあえず俺は弟のために茶を淹れてやる事にした。
ラクガキにSSをつけたりなぞしていたら眠気が限界に…す、すみません拍手返信は明日こそ…うう、狼がきたぞー!(>△<)
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互いの誤解を埋めるべく、カノン島で再び生活を共にし始めた俺たちだが、なかなか以前のようにという訳にはいかない。何せ俺は弟に散々暴言を吐いた気まずさもあるし、天魁星ごときの囁きに乗って育ててしまった闇も持っている。どうしても弟に対して及び腰になってしまう。
それに比べてデフテロスはさっぱりしたものだ。何もなかったかのように振る舞い、接してくる。2年間鍛えたという我の強さの違いなのだろうか。俺の影として暮らしていた頃の姿が嘘のように、堂々としている。
いや、俺とていつまでもウジウジとしているわけにはいかないのだ。過去を引きずるのも俺の性分に合わない。弟に習い、少しでも身に潜む闇を薄めていかねば。
そんな事を思っていると、弟が帰ってきた。手に何か布を抱えている。
「ただいま、兄さん」
そう言いながら広げて見せたそれは、綺麗な刺繍の縁取りをされた2枚の外套・ヒマティオンだった。
「それは一体?」
「兄さん用の服だ。この小屋には俺の服しかないから」
2年間、修行のために使われていたこの小屋には必要最小限のものしかなく、当然のことながら俺用の衣類などなかった。そのため弟の服を借りて生活しているが、それとて質素なもので、このように華やかな外出着など置いていない。
いま見せられたヒマティオンは、この島の者たちが身に付けるような、無地の下級庶民向けのものではなかった。ギリシアの中級以上の市民たちが着る物だ。
「随分と贅沢な服だな…それに俺は2枚も必要ないが…」
思わず弟の顔を見ると、デフテロスは肩をすくめた。
「安心しろ。それは聖域から黄金聖闘士用に貰ってきたものだ。1枚は俺用だ」
「なに」
「聖域近隣の村へ出向くときには、黄金聖闘士の顔を知るものもいるゆえ、階級に相応しい程度の身なりは整えねばならん。兄さんならそのことは良く判っているだろう」
「それはそうだが…それならば、何故2枚ともわざわざ全く同じデザイン、同じ色のものを持ってきたのだろうか」
「兄さんとお揃いにしたかったのだ」
「…そ、そうか」
ペアルックという言葉が何時頃から存在したのか知らないが、一瞬及び腰になってしまったのは、やっぱり弟への引け目からくるものだろうか。ここで引いてはいけないと気を取り直している俺に、デフテロスが期待に満ちた目で告げる。
「さっそくそれを着て出かけないか」
「…鍛錬にか?」
「街へに決まっているだろう」
ばさりと俺にヒマティオンを被せながら、弟はぽつりと続ける。
「覚えているか?昔、二人で世界にここにあるのだと示そうと約束をしたのを」
……
忘れるわけが無い。
「示すのが力でなくとも、一緒に陽の下にあることを、世界に知らしめるのが俺の夢だった」
俺が途中で約束を捨て、一人高みを目指していた間もデフテロスは昔のままの約束を大事に抱えていたのだ。
二人で並んで街道を歩く。それだけのことが許されなかった過去。
それを思えば、兄として叶えないわけにはいかない。
「フン、たまには大きな街の市場で買い物するのも良いかもしれんな」
素直に返事の出来ない自分が少し情けなくなるが、デフテロスは嬉しそうに自分もヒマティオンを纏い、俺に手を差し伸ばしてくる。
お揃いの服を着た同じ顔の双子が、手を繋いで買い物なんぞした日には皆の視線がとても痛いような気がするのだが、十数年間浴びつづけた弟の視線の威力に比べれば、物のかずにもならない。
…ならない筈だ…と俺は自分を鼓舞して弟の手を握り返した。
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今気づきましたが、当たり前のように復活設定でした。街で弟は腕を組む勢いで兄にくっついていればいいと思います(>ω<)b
あっ、今日は木曜日なのに王者と戦わなくていいのか!
ここのところ双子祭りで転がされまくり、精神体力共にオーバーヒートぎみでしたが、いざ戦わなくてすむと寂しいこの感じ。
でも脳内では相変わらず双子フィーバー中なんですが(>▽<)
愚兄×デフの場合。
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弟の心を真っ直ぐにぶつけられ、俺たちの諍いが杳馬によって歪められたものだと知った今、もうデフテロスに対して疑心暗鬼を持つ必要はない。
全てが杳馬のせいというわけでもなく、互いに対して思うところが無かったとはいえないが、それとてこれからはきちんと話し合えば良いのだ…その筈だ。
キラキラと輝く視線で犬のように抱きついてくる弟に、俺を追い落とそうとする邪心などない。それくらいは判る。だから、この体勢に何故か危機感を覚えるのは、闇の一滴の後遺症だ。そうに違いない。今まで邪険にした分も、俺から歩み寄らねば。しかし、何だか顔が近い気がする。
「デフテロスよ」
「何だろうか、兄さん」
「俺は何故、狭いソファーでこのように抱きしめられているのだろうか」
「すまん、確かに狭いかもしれない。ベッドへ移動しよう」
「……ここでいい」
俺は一生懸命、心の闇に抵抗する。ここで弟を畏れるのは間違いなのだ。何だか逃げ出したくなり始めている俺のほうがおかしいのだ。
ぎゅっと背中に回された手が俺の服を掴み、弟の体温が感じられる。
その体温が馴染んでくると、意外と心地いい。
ほら、やはり弟は悪くない。
杳馬のせいで、反射的に弟を疎ましく思う癖がついているのかもしれない。そんな悪癖に打ち勝つため、俺もデフテロスの背中へと腕を回した。
しかし、やっぱり何かの罠に嵌っているような気がするのは、俺の心から闇が抜け切っていないせいなのだろうか。
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一応愚兄×デフなんですが逆でも問題なかった。
とりあえず間違った方向に更生する兄さん。
今日もぱちぱち有難う御座います。出社前の元気の素です!
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「よー、お兄ちゃん。元気だったか?」
「誰だお前は」
「何度も会っているのに、酷いなァ」
その男が現れるのは、決まって月が大きくて綺麗な晩だ。聖域にそぐわぬ異質な風体だというのに、何故か当たり前のように闇に馴染んで、何時の間にかそこにいる。
飄々とトボけた胡散臭い笑顔を向けられて、ようやく俺はその相手の事を思い出す。どうしてこんなに目立つ男の事を忘れてしまっていたのか判らないが、多分、どうでも良い相手だからなのだろう。現に名前も知らないのだ。
その男は俺を見て感心したように言った。
「へえ。お兄ちゃんてば、黄金聖闘士になったのか」
「ああ」
俺はたまたま戴いたばかりの聖衣を着ていた。月明かりを浴びた聖衣は光を反射して、それが目に入ったのか男は顔を顰めたが、直ぐにニィっと口元を緩めた。
「頑張ったじゃん?さぞかし弟くんとは差がついたろうねー」
「……!」
「あれ?黄金聖闘士になってもまだ、実力切迫ってやつ?」
悔しいがこの男の言うとおりで、弟のデフテロスは相変わらず独学で拳を磨いている。俺が教える事もあるが、それは知らないところで知らない技を身に付けられるのが怖いからだ。弟の実力は空恐ろしいほどで、聖衣さえ得たならば、双子座の俺にも匹敵するのではないかと感じる。そう、聖衣が弟にあったなら…俺が死んで、聖衣が弟のものとなったなら。
何故弟は俺の真似をして力を磨くのだろう。
この聖衣が欲しいのか?
最近のデフテロスは黙したまま、常に後ろから俺を見ていて、何を考えているのか分からない。
「それじゃ、いつ二番目に寝首をかかれるか判んないワケね」
心を読んだかのように、目の前の男が笑っている。
男は近付いてくると、顔を覗き込んできた。
「二番目に、差をつけたい?」
思わず俺は頷く。
「じゃあ、弟くんのまだ知らない事を、教えてあげよっかなー」
「デフテロスの、知らないこと?」
「まあ…言うなれば、大人への一歩ってヤツ?」
一瞬、男の目がネズミを捕るときの猫みたいに光る。
冷たい手が俺の頬に添えられ、ゆっくりと顔が近付いてきて。
そして、その後のことは、いつものように覚えていない。
もう暫くしたら、男の事も忘れてしまうのだ。忘れてしまえと何かが頭の中で囁いている。これはきっと夢に違いない。
何時の間にか聖衣は外れていた。何だか、だるい。
覚束ない足で、俺は泉を目指して歩き始める。全てを洗い流す為に。
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杳馬が平気で食い散らかしててくれないか…な…