星矢関連二次創作サイト「アクマイザー」のMEMO&御礼用ブログ
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13年前に決別して以降、双子の兄とまともに会話をするようになったのは聖戦後のことだ。ずっと海界で海将軍なんぞやっていたオレは地上に住処などなく(海闘士が陸で活動するための拠点はある)、再び聖域でサガと共同生活する羽目になっている。

再会後のサガは、どうもコミニュケーション過多なところがある気がしてならない。接触面積が大きいというか、兄弟ってこんなにベタベタするもんだったっけ?
というか、サガはむしろ他人との触れ合いとか、何気に避けるタイプだった記憶があるんだが。

今もサガが隣に座って本を読んでいる。狭いソファーだというのにわざわざオレの隣に座る意味はあるんだろうか。
「あまりくっつくな、暑苦しい」
思わずそう言ったら、サガはきょとんとして、それから意外なことに素直に『すまない』と言って離れた。
「13年間、誰とも触れ合う機会が無かったので、どうも距離の加減を忘れているようだ」
「……」
そんなの、オレもだっての。
「…もう少し涼しくなったらくっついていいぞ。暖房もないしな」
「そうか」
サガが笑う。秋の訪れは近い。

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秋だからポエム度が上がってもいいですよね(…)
拍手御礼&バトンは夜にさせて下さい。嬉しいお言葉に元気が出ます。

「起きろ、カノン」
まだ早朝だというのに、オレを起こすサガの声が上から降ってくる。
「仕事で遅かったのだ、もう少し寝かせろ…」
海界での任務でほぼ朝帰りとなったオレは、数刻前に眠りに付いたばかりだ。それを知っている筈なのに兄は容赦ない。随分だなと思って薄目をあけると、そこに見えたのは黒髪のほうのサガだった。どうりで。
「お前が起きぬと朝の支度をするものがいない」
しかもこんな事を言っている。
「自分で考えてなんとかしろ」
オレはもう1度布団を被った。
黒くなったサガは偽教皇時代を経て、朝食や身の回りの事を誰かがやってくれる事に慣れすぎている。少しは生活能力をつけさせねばならんと判断したオレは、心を鬼にして黒サガを無視した。
被った布団ごしに戸惑うような黒サガの気配を感じたが、暫くすると「そうか」という声がして、その気配は部屋を出て行った。それだけでなくどうやら双児宮自体を出て行ったようだ。食材でも買いに行ったのだろう。

ま、もう少ししたら台所へ様子を見に行ってやってもいい。
アイツがどんな物を作ろうとするか興味もある。ド下手かもしれんが、オレの分まで作るくらいの配慮は見せて欲しいもんだ。
…なんて事を思っていたら、直ぐにサガが双児宮に戻ってきた。
それも知らない気配を連れて。この、小宇宙を隠す事も出来ない弱っちい存在感は雑兵に違いない。オレは慌てて布団から飛び起きた。寝衣から着替える間も惜しんで入り口の方へ行くと、案の定黒サガとまだ若そうな雑兵がいて、雑兵はニコニコとオレに頭を下げてから台所の方へ入って行った。

「……オイ…オレにどういう事か説明しろ」
思わず半眼でサガを睨む。
「自分で考えて何とかしろと言ったではないか」
対して黒サガはオレの不満に全く気づいていないらしい。言われたとおりに、しかし自分に都合よく判断したようだ。
「それゆえ、道を歩いていた者に頼んだ。お前達がいつも煩いので、精一杯丁寧に言ったぞ」
「…ちなみにどう頼んだのだ」
「『私の為に食事を作ってくれないか』」
「………」
「喜んで作ってくれるそうだから、連れてきた」
「何だそのプロポーズのような言い回しは!!!!」

どうりで雑兵が嬉しそうだったわけだ。
その後の食卓には妙に豪華な朝食と、見た事もない雑兵が一緒に並び、オレはどう黒サガに説教したものか考えながら溜息をついた。

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沙紀さんバトン有難う御座います!次回にでもさせて頂きます(^▽^)ノ

25日までに拍手コメントを下さいました侘助様・夢一様・M様・S様・K様にはメール返信させていただきました♪
26日以降の返信は夜にでもさせて下さい(ぺこ)

昨日の職務中、いきなり奥歯が抜けました。差し歯でもないのにもうスッポリと。ひい。歯周病でグラグラに弱っていた歯とはいえ…!
朝一番で予約していた美容院を後回しにして急遽今から歯医者直行です。

そんな朝ですが双子の朝食SSS。
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テーブルに並べられた朝食を前にして、サガが額を押さえ、なにやら眉間にしわを寄せている。
台所から戻ったカノンはそれに気づき、ギリシア珈琲の入ったカップをテーブルの上へ追加しながら、兄へ気遣いの声をかけた。
「どうしたのだサガ、気分でも悪いのか」
「なんでもない…いや、隠すような事でもないか。もう一人の私が、朝からワインを飲みたいと煩いのだ」
「いいじゃないか、ワインくらい」
以前であれば、弟にであれ内面をさらけ出すような真似はしなかったサガだが、聖戦後は諸々の反省からか、抱え込んで思いを隠すような事は少なくなった。カノンとしては話しやすくなり、とても助かっている。
「しかし、仕事前だぞ」
どうやらサガはカノンと話しつつ、内面でもう一人の己と揉めているらしい。
「そんな朝三暮四もどきで争うより、たまには飲みたい時に飲めばいいじゃないか」
心配するような内容でもなかったと、カノンは席に着き朝食へと手を伸ばす。
「サガが言っているのは冷蔵庫に入っているハーフボトルだろう?あれ位なら薄めて飲めば酔って仕事に障るほどでもあるまい。仕事は昼からなのだし」
そう言うと、サガは額から手を離してカノンを見つめた。
「しかしそうすると、仕事後に飲むものがなくなる」
「しょうがないだろ、飲んだのだから」
「アレは仕事後はお前のビールを奪えばいいとか言っている」
「ふざけんな!」
カノンがサガの分の珈琲カップをぐいと押し出す。
「朝はこれで我慢しろ」
サガはカップとカノンの顔を交互に見ていたが、やがてニコリと笑うと「そうしよう」と答えた。

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聖戦後の白と黒が下らないことで相克しても、弟が調停してくれるといいな。

連休の激務は終わりましたが、もう暫くすると忘年会や年末年始の予約ラッシュが始まりそうです(>ω<)

ところで、このところの雨でさるすべりの花が散ってしまいました。
満開時の金木犀の下に金色の花が積もるように、さるすべりの木の下にもふわふわの小さな花(近所のさるすべりの花の色は白)が雪のように積もってそれは綺麗だったのです。

白い花を見ると善サガを連想します。
…という強引な前振りをしておきながらタナ×白サガ関係有り前提の、黒サガ+カノンネタ。台詞黒のみ。
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私を呼び出すとは一体何の用だ愚弟。
は?もう一人ならともかく、私に愚弟呼ばわりされたくない?
喧嘩を売るために呼び出したのか。良い度胸だな。
違うのか?ならば早く用件を話せ。
何故アレが死の神と関わる事を許しているのか…だと?
許してなどおらぬわ。全く忌々しい。自刃などするから魂が歪み、タナトスなんぞの影響を受けやすくなってしまうのだ。あの馬鹿は。
ではどうして勝手にさせているのかと聞くのか。
フン…まあ、敢えて言えば、害がないからだ。
アレがいくら冥界へ通おうが死に惹かれようが、アレのタナトスへの感情は、私を浸食しない。また肉体の死を選ぶほど歪みが広がるのならば別だが、女神の信任がある限り、もう自分で死ぬような真似はしなかろうしな。
サジタリアスやお前の方が、余程私を浸食する。
お前たちへ対する感情は、アレを通して私を変えてしまうが、そういった危惧がなければ、アレが多少羽目を外そうが黙認してやるさ。
それに、タナトスを相手にさせていた方が、他の者への牽制になる。
アレを一人身にしておくと、手を出してきそうな輩も多そうだしな。
現状の方が都合がいい。有体に言えば、そんなわけだ。

…何故そこで睨むのだ。
真面目に答えてやったというのに、わけのわからない奴だな。

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今日もぱちぱち拍手をありがとうございます(^^)
コメント返しは夜にでもさせて下さい!

ロスサガ風味。
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子供の頃、アイオロスと飛行場を見に行った事がある。
子供といっても私たちは黄金聖闘士だ。聖域では既に任務を与えられ、一人前の戦士として扱われていた。
その飛行場へ赴いたのも任務帰りだったように思う。
アイオロスは少年の例に洩れず、飛行機という人工の乗り物を好んだ。
そして私は、彼と一緒の時間が長引く事を期待した。
利害の一致した私たちは、ほんの少しだけ二人で手をとり合い、滑走路の見える場所へと寄り道をした。
アイオロスは飛行機についていろいろ話してくれた。
「離陸には、臨界速度というのがあるんだ」
走り始めた飛行機を金網ごしに眺めながら、彼は目を細めた。
「その速度になってしまったら、もう飛び立つしかない。そこでブレーキをかけてもタイヤがもたないし、滑走路も足りない。大きな飛行機ほど、やり直しが利かない」
「では、射手座の方が便利だな。どこからでも自由に飛びたてるし」
そう答えたら、アイオロスは目を丸くして、それから爆笑した。どうも返事のピントがずれていたみたいなのだが、よく判らない。
私は本気でそう思ったのに。
飛行機の臨界速度の事をV1速度と呼ぶのだということも、その時に教わったのだった。
私はアイオロスの教えてくれた言葉をずっと覚えている。


「そう、そしてアイオロスはこうも言った。臨界速度に達していれば、必ず飛べるのだと」
もう一人の邪悪な私がニタリと笑う。
「邪魔な教皇は始末した。心配の種であったカノンも消えた。女神殺害には失敗したが、アイオロスの排除と女神の放逐には成功した。なあ、ここまでお膳立てをしてやったのだ」
まくし立てながら、闇の哄笑は次第に大きくなっていく。
「やりなおしは利かない。もうお前は諦めて高みへと飛び立つしかあるまい!この世界を支配する頂点へと!」


私達はアイオロスの言葉を忘れない。
だから、どんなに現実の表層を飾り立てても、奥底では思うのだ。

飛びたてたのはアイオロスだけで、私達は離陸に失敗したのではないかと。

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