あとLCで登場した前聖戦レオは、見た限り若獅子ではなく子獅子です。ユニコーンと同年代ならまだ少年ですよね…なんて可愛い!
今生のアイオリアが反逆者の弟という事で性格に陰が差したのとは逆に、前聖戦では射手座に陰が差し(払拭しましたが)獅子座レグルスが太陽のような少年なのですね。いやホント可愛い。やばい。
そんな前ふりと無関係なサガの最初の惨劇の日
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君死にたもうことなかれ
東洋の詩人がそんな事を書いたらしい。
そのような事を正しく述べる女子供が、弱きものが羨ましい。
何故なら私は戦う者で、皆を戦いへ送り出す者でもある。
戦争が始まっていなくても、私は人殺しだ。
私はつい先ほど、弟を水牢に閉じ込めた。
そうしなければ、弟はこの聖域にあだを成したろう。
改心すればよし、そうでなければ弟は海に沈む。
私のたった一人の弟が。
「わたしはすべての人々に神のように慕われている…そんなわたしが なぜ次期教皇ではないのですか…」
掟を冒してまで禁区スターヒルへと登り、シオン様へと問うた。
私は全てを捨てても、正しき道を歩もうとしてきたつもりだ。
それでも まだ足りないのだろうか。
シオン様はおっしゃった。
「おまえの魂にはとてつもない悪魔が住んでいるような気がしてならんのだ」
断罪の言葉に、眩暈がする。
私の光はどこにあるのだろう。
(ははは!弟を海に沈めてまで貫こうとしたお前の正義は、認められなかった!)
耳元で嘲笑する声がする。この声はカノンか、それとも。
君死にたもうことなかれ
そう願いながら、私は愛するものたちに手をかける。
(さあ、完璧であったお前の世界に、綻びが出来たぞ)
私の中の暗闇が、シオン様を殺めて聖地に血を流す光景を、私はどこか遠くからぼんやりと見ていた。
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女神にニケ(勝利)を渡すのがアイオロスの役目であったならば、星矢に盾(正義)を渡すのはサガの役目であった気がしてならないです。
サガがカノンに正義を説くのは、人としても聖闘士としても正当な理由なわけですが、カノンがサガに悪を囁くのは自分の側にあってほしいという理由しかない。オレは悪だがアンタは正義で勝手にやればいい…とはカノンは思わないのです。
「お前の本性は悪!」と暴くのは、いつも偉そうに自分に説教するサガへの意趣返しとしても、悪を囁き続けるのは、自分と同じになれというカノンの願望が混じっているような、そんな印象を受けます。
海界戦終了以降は「お前はお前オレはオレ」になった上で、でもサガを好きでいるような感じに成長したのかなあと。
それはさておき、以下昨日のSSのサガバージョンもどきな対のお話。
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あの時は双児宮に突然修行帰りのアイオロスが立ち寄って、たわいもない会話から彼の弟アイオリアの話題になったのだと思う。黄金の守護を持つアイオリアはめきめきと力をつけ、先が楽しみな獅子座の守護者だ。
嬉しそうに弟の話をする彼の前で、つい私は口が滑った。
「そのような家族がいて誇らしいだろうな。私には弟がいないので判らないが」
わざわそんな事を言ってしまったのは、彼らへの羨ましさと、弟を秘さねばならぬ双子座の決め事に対する反発を、無意識に自分で押さえ込もうとしたからだと思う。
そう言った途端、首筋がぞわりとするのを感じた。
双児宮の主である私にしか感じ取れなかったであろう変化。カノンの気配の変化だ。
カノンは不意の来客があると、奥の隠し部屋で息を潜めなければならない。私の小宇宙と己の小宇宙を同一化させ、私を通して相手の様子を伺いながら、ただひたすら来訪者の帰りを待つ。
今も壁の向こうでカノンはひっそりと私を見ている。
まずい。
血の気が下がる心地がした。私は言ってはならぬことを言った。こともあろうに、カノンの前で弟の存在を否定し、他人の家族を羨んだ。
カノンはどんな気持ちで私の言葉を聞いたのだろう。
その後は強引にアイオロスに帰ってもらい、カノンのいる隠し部屋に飛んでいった。カノンは私をなじりもせず、いつもと同じように「出かけてくる」と去ろうとしたが、私はカノンの服を握って離さなかった。このまま彼が帰ってこないような気がしたのだ。その時の予感は正しかったろうと今でも思う。
私は双児宮の周囲に迷宮を張った。それ以降、居住区へは誰も入れたことが無い。考えてみればカノンとて私と同じジェミニなのだ。主であるカノンがこの双児宮で、隠れ住まねばならないなんておかしい。双児宮でくらい自由に過ごして良いはずだ。
いつかもっと広い世界で、カノンと暮らせたら。
子供であった私は、ただ真摯にそう願った。
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また推敲の間もなく出社時間(>△<)
13年前までの双子
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サガは決まりごとや約束ごとに厳しい。嘘も嫌う。だけど、誰かに嘘を付かれたとき、約束を破られた時、それほど怒りはしないように見える。何故ならサガも嘘をついているからだ。万人に対して己の中の闇を隠し、オレという弟の存在を隠している。だから自分には他人を怒る資格が無いと思っている。
けれども許しているわけではない。相手の不実の理由がいい加減なものであった場合、サガはそっとその相手と自分の間に線を引く。静かな笑顔を湛えたまま黙って離れていく。サガとて普通の人間で、そのあたりは皆とそう変わらない。ただあまりに静かに笑っているから、それに気づかれにくいだけだ。
だから、サガが強く怒ることが出来るのは、自分が嘘をついていない相手だ。つまり、嘘の対象である弟のオレ。オレが何か不実なことをやらかすとサガは大層怒るが、それはサガとオレが近しいからだ。
人を殺めたとき、盗みを働いた時、聖域を抜け出しては夜遊びを繰り返した時、サガはオレを物凄く怒った。だがそれはオレを安心させた。サガがそんな風に怒るのは、オレに対してだけ。
そう思っていた。
ある朝、サガがオレに「おはよう」と言った。静かに笑って朝食の用意が出来たと伝えた。その日もオレは朝帰りで、酒臭かったと思う。それも、前の晩にサガと出かける約束をしていたのを、すっかり放置して連絡もいれなかった上でだ。別にいつもの事だし、断りを入れるのも面倒だったのだ。盛大に怒鳴られるのを聞き流せば済むと思っていたのも確かで、そういう意味ではオレはサガをなめていたし、甘えてもいたのだろう。
でも、その朝のサガは怒らなかった。
ヤバイ。
瞬時にオレは悟った。サガの中でオレとの間に一線が引かれたのが判った。そんな事はありえないと思っていたのに、サガがオレとの間に距離をつくった。その事自体が信じられなかったが、そんな風に思うこと自体、オレはサガを身近に思いすぎていたのだろう。
オレは初めて本気でサガに謝った。それはもう泣きつく勢いで。今思い出しても笑ってしまうくらい必死に。
それ以来、オレはサガとの約束だけは破らないことにしている。オレはサガが怖い。サガの中で他人にされることが怖い。サガの中にはオレしか人間がいないのに、それすら消させてサガを独りにしてしまうことが怖い。心の中から人間を全て消去して独りになったサガは、多分他人と世界に対して歯止めが利かなくなるだろう。それが怖い。
オレはサガを独りにすることが怖い。
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サガはサガで弟に対してカノンが思う以上にブラコンなのですが(>ω<)
という妄想で。今日も早朝妄想を吐き出して今から出社です。
ぱちぱち有難う御座います!日々の糧です。
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カノンが海将軍として復帰して以降、サガはしばしば海界へと降りる。
弟の仕事が終わるのを待つ間、ヒマな海闘士が物珍しさからか集まってきて、話し相手になるのが常だ。
海将軍筆頭の双子の兄でありながら敵の黄金聖闘士でもあり、しかも女神に反逆した過去を持ちつつも未だ聖域で皆の信頼を集めている人物となれば、海闘士の興味を引くのも無理はない。また、サガを通して謎めいていたシードラゴンの話を聞きたがる者も多かった。
海将軍ともなると、雑兵のようなあからさまな野次馬的態度はとらない。こちらは純粋な好意と礼儀から挨拶をするために顔を見せた。若くて才能のある伸び盛りの海将軍たちを見ていると、つい指導をしたくなるサガだったが、流石にそれは僭越と控え、助言のみに留めている。彼らを鍛える務めも権利も、聖域の人間ではなく筆頭であるカノンや彼ら自身のものであるからだ。
今日のサガの話相手はバイアンだった。彼は折り目の正しい海将軍の中でも真面目な性質で、多少自信家ではあるものの、それは海将軍の実力と誇りに相応しく、サガにも丁寧に接してくる。真面目なだけに、過去のカノンが都合よくこの海将軍を利用していたであろうことが会話の端々に読み取れて、サガはこっそり心の中で頭を下げた。
「聖域は居づらくないだろうか?もしそうであれば、海界へ来てしまえばいい」
真面目だが、バイアンは言葉を飾りはしなかった。
相手が黄金聖闘士であれ、率直にものを言う。
「ありがたい言葉だが、それは出来ないのだ」
「何故?」
サガはまだ若い年下の海将軍にニコリと笑う。
「では、例えば私がカノンに…シードラゴンに『海界が居にくければ、贖罪などやめて聖域へ来てしまえばいい』と言ったならば、君はどう思う」
諭された海将軍は、はっとしたように顔色を変えて、それからすまなそうに謝った。素直なところも海千山千の黄金聖闘士たちとは違うなとサガは思いながら、顔を上げてくれるよう頼む。
「心配してくれてありがとう。だが私は実のところ、聖域にそう居にくい訳でもない…と最近は思う。そして私の弟もきっと、海界に対してそう思っている」
目を見開いたバイアンが、その言葉の最後で一瞬嬉しそうな表情を走らせたのを見て、やはりまだまだ海将軍は他界の闘士に比べ経験値が足りないなと思うサガだった。彼が外交上の駆け引きをこなせるようになるまでには、もう少し時間がかかるだろう。
だが、その純粋な心持ちを無くさないで欲しいものだとも、サガは思った。
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また例のごとく推敲の間もなく出社時間に(汗)
嬉しい拍手へのお返事は夜にでもさせてくださいね(^^)
そんなことより星矢おめでとう!星矢の可愛さも格好よさも少年ぽさも大好きです!あのモテ率が個人的にたまらない。恐るべし。拙宅ではごらんのとおりサガ至上な有様なのに、そのモテサガも星矢には負ける。サガが女神相手に犬なのは聖闘士だからという事や経緯から当然として、星矢にも犬。どういうことですか。でも真紅の少年伝説見る限り、アニメでも星矢には犬の気がするんですよね。伝説のたらしですよ星矢は!
無論、それだけモテるのは、星矢が誰よりも一生懸命生きていて、魂が光り輝いてるからなのですが。
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「誕生日おめでとう星矢」
かつて偽教皇として敵であったサガが、こうして尋ねてきてくれるだけでなく、誕生日まで祝ってくれるのは何となくくすぐったい。ギリシアには誕生日を祝う習慣は特に無いので、きっと日本生まれのオレにあわせてくれているんだと思う。
「何か欲しいものはないか?あまり高価なものは買ってやれないが、私の懐の範囲内であれば、先輩顔をさせて欲しい」
あんまりニコニコとそんな事を言われると、遠慮するほうが悪い気がして、何か欲しいものがあったろうかと考えてみるも、特に思い当たらない。孤児院(いま日本ではそう言わないらしい)にいた頃は、世間の他の子供達と自分を比較していろいろ欲しがった記憶もあるが、今はロドリオ村での姉さんとの生活に満足している。聖闘士全般にいえることだけど、生活必需品以外は贅沢品という感覚に慣れてしまったし、実際不足するものがあるとも思えない。
「ええと…うーんうーん、あっ、そうだ。どうせなら姉さんに何かアクセサリーとか欲しい。サガは趣味良さそうだし」
そう答えたら苦笑された。
「却下する。星矢が自分用の物を貰うより喜ぶ事は判るのだがね」
「駄目かな?」
「駄目だな。まず誰から貰ったのか星矢のお姉さんが尋ねられた時、どこの馬の骨とも判らない男が買ったプレゼントだ…などという返事をする羽目になるのは、星矢のお姉さんが困るだろう?お姉さんには星矢がお金を貯めて買ってあげたほうが、喜ばれると思うぞ」
「それもそっか」
サガはどこの馬の骨とも判らない男ではないと思ったが、言ってる内容はその通りなのでオレはまた悩む羽目になった。
「うう、でも咄嗟に思い浮かばないんだよ」
「ゆっくり考えてくれ」
サガはふんわり笑って来客用の椅子に寛いでいる。サガが居ると言うだけで、このボロ屋が王宮のように華やかな雰囲気になっている。今日のサガは黄金聖衣ではなく、質素な外出用の法衣だが、聖衣を着なくたってサガは目立つのだ。
これだけ綺麗なくせに、サガは本質的に王者でもあるし、戦士でもある。すっごく強いのだ。完璧超人だと思う(二重人格だけど)。
そうだ、聖闘士として、後輩としてなら希望はいっぱいあった。
「物でなくてもいいかな」
「どんな事だろう」
「オレがサガを尋ねた時は、時間をとって稽古をつけて欲しい!」
そういうとサガは目をぱちりとさせた。
「それは頼まれずとも、いつでもそうするつもりだ」
「えっ、そうなの?」
「お前と女神への対応は、私の中で最優先順位にある。稽古などいつでも付けるので、他の物を考えて欲しい」
カノンやアイオロスも最優先の中に含まれてるだろーとこっそり思ったが、サガは自覚していなさそうなので突っ込みは控えた。
「更に他のもの…うう…」
悩んでいるオレの前でサガは相変わらず何が楽しいのかニコニコしている。そういえばサガがこんなに嬉しそうなのは珍しい気がする。
(この顔を見ていられるのなら、もう暫く悩んでいてもいいかな)
サガを待たせながら、オレはそんな風に思った。
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また推敲の時間もなく出社時間に(><)拍手ありがとうございます!
返信は夜にさせて下さい。