朝5時現在どしゃぶりの雨です。また電車止まったら困りますよ。
拙宅パラレルでカノンが完全海龍ケースの場合、海龍の特殊能力として風雨を起こせるという生暖かい設定があるのですが、設定作ったものの使いどころがないですね…!
天気続きの時などにサガに依頼されて庭のハーブに雨を降らせるくらいです。畳一枚分くらいの雲を出して。
サガも聖戦後は人格統合の白黒割合を自由に調整できるようになった…というような特殊設定あるんですが、まだあんまり統合サガを書けてません。統合サガは常識はまともにもっているくせに、白黒サガ以上にフリーダムな性格になりそうな気がします。白サガの性格と黒サガの性格の両極端なところを強引に一つにまとめたら、そりゃフリーダムになりますよね。そのかわり上手く一致した時には最強です。
兄弟や双子間の行き過ぎた愛情っていいですよね。
うう、SSS書いていたらもう出勤時間…!
「もう少し早くサガとアフロディーテに出会えていたらなあ」
星矢が茶請けの菓子を摘みながらそんなことを言い出したので、名前を出された二人は顔を見合わせた。
場所は双魚宮。黄金聖闘士二人の優雅なティータイム中に、通りすがった星矢がちゃっかり参加しているという形だ。
「サガについて君がそう思うのは判るが、私もか?」
魚座の主が尋ねると、星矢は真面目な顔をして頷く。
「ああ、だってアフロディーテも綺麗じゃん?」
なんだそれは、という顔になったアフロディーテに構わず星矢は勝手に話し続ける。
「白銀聖闘士にミスティってのがいてさ。俺、そいつと戦ったことがあるんだけど『女神以外に自分の美に勝る存在はあるまい』とか言ってたんだぜ!確かに顔は良かったけど…」
もぐもぐと口の中にあった菓子を飲み込んでから続ける。
「あのときにサガとアフロディーテを知っていたら、お前よりもっと美人がいるって言い返してやったのに!」
隣でサガの目が遠くなった。口にものを入れながら話すのは止めなさいと注意するのも忘れているようだ。
星矢の頭にぷすりと薔薇が刺さる。
「痛ってえ!何するんだよ!」
「前から思っていたが、どうも君は敵をまず顔で判断しているだろう」
頭を庇うように両手で押さえた星矢へ、アフロディーテは知らんふりでティーカップを傾けている。
「だって俺、綺麗な顔の奴は心も綺麗だと思うもん」
星矢の方も、この程度の攻撃で口をつぐむほどやわではない。
「何となくだけど、心のあり方って絶対に顔に出る。卑しい奴はいくら顔の形が整ってたって、やっぱり卑しい顔なんだ」
アフロディーテがチラリと星矢を見て、肩を竦めた。口には何も出さないが『そこは同意してやる』という意思表示だった。
「だから俺、サガとアフロディーテは綺麗だと思うよ」
しかし、星矢が続けた言葉で、直ぐに呆れ半分・感心半分の表情が追加される。
「臆面もなくそう言う事を本人の前でいうから、君はタラシの卵などと言われるのだ…サガもそこでよろめかないように」
「わ、私はよろめいてなど…」
会話を横で聞いていたサガが、いきなり声をかけられて言葉を詰まらせた。
星矢は輝かんばかりの笑顔でサガを見る。
「俺、サガは身体も綺麗だと思う。アフロディーテの全裸は見たことないから判らないけど」
十二宮での戦い(での自分の全裸行動)を思い出してサガは深く落ち込み、星矢の頭にはもう1本薔薇が増えた。
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星矢は、ミスティの身体に傷がない・痛みを知らないことは男として自慢にならないと一蹴しても、顔(&身体)自慢には突っ込まないんですよね(笑)
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「当たり前だ!幻朧魔皇拳を撃とうとしているだろう!」
「撃たなくてもお前は逃げるではないか。ならば技をかけて大人しくさせてやる」
「勝手な事を言うな!」
微妙な間合いで対峙しているのは黒サガとアイオリアだった。
流石に1度食らったことのある技を、黄金聖闘士であるアイオリアがむざと受けるわけがない(そもそも1度目とて、シャカとの千日戦争中に横から食らった不意打ちだ)
ただでさえ暑い夏のさなか、暑苦しい攻防を繰広げている二人の周囲から、神官や雑兵たちは蜘蛛の子を散らすように逃げていった。
短気なアイオリアが反撃しないでいるのは、私闘禁止の聖域ルールに従っている事もあるが、ひとえに白サガへの義理立てだ。サガの主人格である白サガに対して、未だ過去のわだかまりはあるものの、実力性格ともに認め、先輩としては尊敬しているのだ。
しかし黒い人格のときのサガは、アイオリアにとって天災そのものだ。
「また俺に人をあやめさせるつもりか!」
「安心しろ、ただの幻魔拳だ。直ぐに解ける」
「では、何をさせるつもりなのだ」
「言ったであろう、大人しくさせるだけだと」
「信用できるか!そもそも俺を大人しくさせてどうする気だ」
アイオリアの中での黒サガの信用度は甚だしく低い。
黒サガはそれでも聞かれた事には律儀に答えている。
「脱がせて夜に私の傍らへおく」
「…は?」
返事の意味が判らず、アイオリアが怪訝な表情になる。
「今の返答の仕方、ミロに似ていたぞアイオリア」
「そんな事はどうでもいい、今のはどういう意味だ」
問い返したアイオリアに対し、黒サガは『そんな事も判らんのか』という顔をしている。
「お前はO型だろう、アイオリア」
「ああ」
「O型はAB型よりも蚊に好かれやすいと聞く」
「それがどうした」
「お前が横にいれば、蚊はお前の方へ行くだろう」
「………」
「脱ぐのは上半身だけで許してやろう」
「ライトニングプラズマ!!」
プツリとキレたアイオリアの繰り出す光速拳を、同じく光速で黒サガが避けたり防御したりしているのを見て、止めに来た年中三人組のうち二人は遠い目になった。
「あれはコミニュケーションだと思うのだが、お前はどう見る蟹」
「オレもそう思うぜ。はた迷惑だがな。それとオレを蟹と呼ぶのはやめろ」
呑気に話すアフロディーテとデスマスクの横で、一人シュラがはらはらしている。
「お前達、千日戦争になる前に止めるぞ!」
「ほっときゃいいじゃん」
「デスマスク!」
睨まれたデスマスクが肩を竦める。
「じゃあお前が止めてこいよ、シュラ。あの二人の間に割って入るのは、まぎれもなくお前が一番適役だ」
言われるまでもないと飛び出して行ったシュラを見送り、残った二人はのんびり見学モードへと入った。
「さて、どうなるかね」
「お前は人が悪いな蟹」
「黒サガもアイオリアもシュラには弱い。適役だってのは嘘じゃないぜ」
「シュラが二人から突き上げられることになるのは、目に見えているが」
「そこは甲斐性の見せどころだろ。黒猫と子猫をどう手なづけるのか、お手並み拝見といこうじゃないか」
「…やはり楽しんでいるだろう」
「アフロディーテ、お前こそ」
そんな会話をされているとも知らず、アフロディーテとデスマスクの見守るなか、予測どおりシュラはアイオリアと黒サガの両方から絡まれ始めたのだった。
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「お前、何でそんな格好を…」
サガが纏っているのは、漆黒に輝く冥府の闘衣・サープリス。
巨蟹宮へ向けて歩き出しかけていたサガが、弟の帰宅に気づいて振り向いた。
「おかえり、カノン。少し冥界へ出かけてくる。夕飯の材料は冷蔵庫に入っているので、適当に食べてくれ」
冥府と聞いて、カノンの眉間にわずかな縦じわが寄った。
「その冥府へ行くのに冥衣か?他の者に見られでもしたら、また裏切るのかと思われるぞ」
しかしサガは危機感なく首を傾げる。
「隣宮の巨蟹宮から黄泉比良坂を通ってゆくのだ。すれ違う者もおるまい」
「だからと言って!」
心配から憤るカノンを見て、サガは戻ってくると子供に対するかのごとくカノンの頭を撫でた。
「纏う鎧が何であれ、私の忠誠先は変わらない。それに、公務でもないのに黄金聖衣で冥府へ降り立つのは目立ちすぎると言われたのだ。太陽の欠片を持ち込むようなものだと」
聖戦の折、12の黄金聖衣はその光によって嘆きの壁を砕いた。冥界の者が危惧するのは無理も無い。しかし。
「そのように、タナトスが言ったのだな?」
カノンの声に、やや棘が混じる。だがサガはそれに気づかないのか流したのか、何事もないかのように答えた。
「ああ、そうだ。敗戦界の立場を思うと、その言い分にも一理あるかと思ってな…無用の波風を立てぬためにも、たまにはアチラの民族衣装で行こうかと」
「冥衣は民族衣装じゃない!そんな理由か!なら普通の服でいいだろ」
「しかし、冥衣を着用してやる丁度良い機会かと思ったのだ」
はっとカノンはサガを見た。
「お前が言っていたろう?闘衣は生きていると。使いもせずに飾るだけなのは可哀想だと」
確かに以前、冥衣を捨てずに手元へ置き、さりとて持て余しているサガに対して、カノンはそのような事を話した。
「覚えていたのか」
「お前の言葉を、私が忘れるはずもあるまい」
そう言われると、カノンとしてもこれ以上言い募りにくい。
サガは畳み掛けるように続けた。
「それに、久しぶりの着用で双子座の冥衣がとても喜んでいるのが判る…今更やっぱり脱いでいくなどと、そんな酷なことは出来ないぞ」
最後の方はぼそりと囁かれる。確かにサガの纏う冥衣はいつもより煌きも増し、やる気にみなぎった気配を発している。
「そ、それもそうだな…」
ここでカノンが無理に冥衣を脱がせたら、十二宮に恨みの金属音が響き渡る羽目になりそうだ。留守で残るカノンとしては全くありがたくない。
仕方なく冥衣姿のサガを送り出したカノンだったが、代わりに双子座の黄金聖衣のいじけた金属音を聞くことになるということには、まだ気づいていないのだった。
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