冷房の入らない休館中の職場で今日もがんばりました。
デフテロスは、溶岩だの火山だの高温は平気そうですけど、湿度高いのが駄目だったら可愛いですよね。
逆にカノンは、暑さにはそんな強いわけではないんですけど、湿気については湿度の高い海界暮らしで慣れていて平気という。
女神の護衛で日本へ行った時、蒸し暑さにサガはやられるんですけど、カノンは平気な顔してるんですよ。サガも根性で平気な顔しますが、だんだん言動がおかしくなったりするという。
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「暑い…」
兄の呟きを耳にしたカノンは、顔をあげてそちらを見た。
珍しいこともあるものだ。サガは自分の苦痛や不満を表に出すタイプではない。いつでも世界と隔絶したような穏やかさで、超然と振舞うのが常だ。
よく見ると額にうっすらと珠の汗を浮かばせている。眉間には深い縦皺。よほど暑いのだろう。
「天気予報によると、今日は真夏日となるらしい」
話しかけられたと言うわけではないが、部屋にいるのは二人きり。何とはなしに返事をすると、サガはぼそりと愚痴めいたことを言った。
「こう暑いと、イライラしてくるものだな…」
ますます珍しいと、カノンは目を丸くする。
サガは自律意識の強い男で、天候だの体調不良だので気分を変えるような性格でもないのだ。
「らしくないぞ。いつものお前であれば『心頭滅却すれば』云々と諭す側だろう」
思わず呟くと、サガが眉間に皺を寄せたままカノンを睨んだ。
「お前は『Orandum est ut sit mens sana in corpore sano(健やかなる精神が強健な肉体に宿るよう祈るべし)』という言葉を知っていよう」
「は?何だ突然」
「健全な精神が健全な肉体に宿れば良いな…という言葉が、後年、富国強兵思想を通じて『健全なる精神は健全なる肉体に宿る』という断定形となる」
「それがどうした」
「『心頭滅却すれば火もまた涼し』も、元の意味はおそらく『心頭滅却すれば火もまた涼しく感じられると良いなあ』であるに違いない。どうしたところで、暑いものは暑かろうからな」
「…いや、そのようなことはないと思うぞ」
「『聖闘士に1度みた技は通じん』とて、実行できるのはスキルの高い一部のみで、実際には『聖闘士に1度みた技は通じないと良いなあ』であろう。いや、技ならば克服できるかもしれん。しかし夏の暑さは何度味わっても暑いのだ」
「僭称とはいえ、元教皇がそんなこと言っていいのかよ。ていうかサガ、おまえ…」
カノンは立ち上がって兄のもとへと近づいた。テーブルに肘をついているサガの隣へいき、かがみこむようにして顔を覗き込む。
「やっぱりお前、黒いほうだろう」
「…まだ完全に入れ替わってはいない」
「どうみてもほぼ99%黒い方だろ。何でまた無理して髪の色を抑えてるんだ」
闇の意識を持つほうのサガは、もうひとりのサガの強固すぎる自制心の反動なのか、欲望や欲求を隠そうとしない。
これだけ中身が闇の人格の方へ傾けば、とうに髪も黒く変化していていいはずなのに、紛らわしいことに髪の色だけはいつものサガに見えるのだ。
カノンが尋ねると、黒サガは眉間の皺を指で押さえつつ呻いた。
「黒髪のほうが熱吸収率が高いからに決まっているだろう!」
「……」
カノンは黙ったあと、盛大にため息をついて台所へと歩いていき、暫くがたがた音をさせていたかと思うと、手になにか持って戻ってきた。
「これでも食べて、頭を冷やせ」
カノンの手にあったのはガラスの器に入ったカキ氷。
双児宮の冷蔵庫は電気式ではなく、昔ながらの木製冷蔵庫で、上段には冷却用の氷の塊が入っているだけだ。それゆえに、長期保存や冷凍保存は不向きなのだが、カノンはその氷を細かく光速拳で砕いて器に盛り、サングリアをかけたのだった。
簡素な出来合いだが、サガ(黒)はぱっと顔を輝かせる。
「気が利くな」
「放っておくと、お前がもう一人のサガに迷惑をかけそうだからだ」
「失礼な。氷菓には感謝するが、いざとなれば解消手段はあったのだ」
「…その辺の雑兵に呼びかけて、アイスを買ってこさせるなどというのはナシだぞ。大体、並みの雑兵では街からここまでアイスを溶けさせることなく持ってこれまい」
視線を逸らせたのを見ると、図星であったらしい。
サガはカキ氷に木匙をつっこんで乱暴にひとすくいすると、それをカノンの口元へ運んだ。
「毒見をしろ」
最初のひと口をカノンに差し出すのは、礼代わりだろうに、そんな憎まれ口を叩く。
口に含んだそれは、甘くて冷たい夏の味がした。
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黒サガは白サガよりも、カノンに対して我侭を言うという形で甘えるんじゃないかな…考察じゃなくて願望ですけど(>▽<)
ぱちぱち下さった皆様に御礼申し上げます!
誕生日おめでとう蟹!というわけで朝のサガと蟹。
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巨蟹宮に入り込んでくる気配を感じて、デスマスクは目を覚ました。
まだ日が昇るか昇らないかの早朝であるが、聖域の朝は早い。訓練生たちはとっくに朝の稽古を始めているし、まかないの雑兵たちは朝食の支度に忙しいさなかだろう。
朝寝は、スケジュールに自由の利く黄金聖闘士ならではの贅沢であるのだ。それを邪魔するのはどこのどいつだ…と思いかけ、デスマスクはがばりと寝台の上へ起き上がった。
宮奥のここ、私的エリアまで許可なく踏み込んでくるのは数名しかいない。
そのなかでも今感じ取った小宇宙は、隣宮を預かるかつての上司のもの。
慌てて寝台から降りて、身支度を整えようとするも、相手の侵入の方が早かった。
「邪魔をするぞ、デスマスク」
黒髪のサガが、まるで自分の部屋であるかのように寝室へと入ってきて、デスマスクは寝起きの頭をがしがしと掻いた。身だしなみも整えぬ姿を見せるのは本意ではない。
そんな胸中を察したのか、紅眼のサガが笑う。
「イタリア男も形無しだな」
「アンタが整えさせなかったんでしょうが」
「その姿も悪くないぞ」
軽口をたたきながら、サガはサイドテーブルへ手にしていた紙袋を置き、中身を取り出した。メロンだ。瑞々しい香りがふわりと漂ってくる。見るとギリシアでよく出回っているものとは違う種類のようだ。
「アンデスメロンだ」
またしてもサガが先回りして答える。サガは13年間、聖域を牛耳っていただけあって、他人の思考には敏い。
「へえ、アンデスのメロンとは珍しいですね」
「いや、これは星矢が持ってきた日本産だが」
「産地偽装って奴ですか?」
「産地は偽装しておらぬ。アンデスというのは『作って安心』『売って安心』『買って安心』…という『安心ですメロン』の略なのだそうだ」
「…やっぱ、開き直った産地偽装なんじゃないスか?」
黒サガはどこに隠し持っていたのか、フルーツナイフを取り出した。メロンの下に紙袋を敷き、ストンと器用に一人分だけ、くし型にメロンを切り取る。
普通は半分にカットして、それをまた切り分けるんだぞ…とデスマスクは思ったが、黒サガが果物を扱うところなど滅多に見れるものではないので黙っていた。
くし型のメロンへ更にナイフをいれ、皮と果肉部分を切り離す。果肉部分を6等分にカットして一口大にした黒サガは、満足そうにそれを1つ指で摘み、食えとデスマスクの口元へ押し付けてきた。
「アンタね、せめて楊枝で刺してから勧めるとかして下さいよ」
「いらぬのか」
「いただきます」
ぱくりと食いつくと、一瞬だけ唇へサガの指が触れた。
起きぬけで喉が渇いていたこともあり、メロンの水気が身体に染み入っていく。
「『安心デスマスク』も略すとアンデスだな」
サガはとても頭がいいはずなのに、冗談なのか本気なのか、時々ネジのゆるい発言をしてデスマスクを脱力させるのだ。
もっとも、他人に対しては決して隙を見せないサガであるので、こうした一面を知るのは、ごく身近な数名だけのこと。
「俺はむしろ危険な男と言われたいんですケド…アンタにとって、やっぱ俺って安全牌なの?」
巨蟹宮の主が、ちらりと本音を覗かせてサガを見ると、サガはどうとでも取れる笑みを浮かべながら、また甘いアンデスメロンの一片をデスマスクの口へと押し込んできた。
そのメロンが、自分でも忘れていた誕生日祝いの贈り物だと気づいたのは、サガが帰ったあとに酒を持って乗り込んできた悪友ども…アフロディーテとシュラから、ハッピーバースデーの言葉を聞いたときのことだった。
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サガとデスマスクの関係も大好きです(>▽<)
エピGのデスマスクとサガは特に美味しすぎる!エピGの蟹は多分唯一、黒サガが教皇宮の沐浴場で、全裸で泳いで遊んでいたりするのを目撃できた男ですよ!
他人を受け入れない黒サガにとって、カノンに対するように振舞う(=身内扱い)っていうのは、最大限の信用の証なんじゃないかなとか、勝手に妄想しています。
今日もぱちぱち下さった皆様に心から御礼申し上げます。毎日の糧です本当に。
…あとはその日に仕事を休めるかが難問です(>ω<)
アスぷとレグルス交流SS
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「なるほど、たいしたものだ」
アスプロスは素直に感嘆した。
まだ少年のレグルスが、自分の動きを視線で追っていたかと思うと、すぐさまトレースしてみせたからだ。
ふるって見せたのは、光速拳を使った衝撃波で地面を削るという一種の陽動技だが、いくら黄金聖闘士であるとはいえ、簡単に出来るものではない。
(血筋か?)
レグルスは前獅子座イリアスの遺児だという。射手座のシジフォスは、そのイリアスの弟である。これだけ揃うと、努力を超えた才能というものがあると言うほかない。
「目を凝らすと、相手の動きが掴めるんだ」
褒められたレグルスが、嬉しそうに笑う。
「でも、シジフォスは目に頼るなって。アスミタみたいになれってことかな」
無邪気に首を傾げている様子は、何も知らぬ者が見れば、ただの子供にしか見えないだろう。
アスプロスは微笑んだ。判りやすい相手は好きだ。レグルスの視線は一挙足動を全て仔細に捉えるが、捉えるのは動作だけのこと。こちらの内面を読まれることはないし、逆にレグルスの心情は隠されていない。
「レグルス。闘士を相手にするのならば、物理的な動きだけではなく、小宇宙も読まなければ」
珍しく示唆したのは、レグルスを気に入ったからである。
「小宇宙だって見える」
「そうか?では、これはどうだ」
アスプロスがレグルスに向かって腕を一閃すると、レグルスの周囲の空間がゆがんだ。見える景色は捻じ曲がり、平衡感覚は失われる。
「お前の周囲の光を曲げた。目に入ってくる情報が正しくないとなったら、どうする?」
突然の異変に驚いているレグルスは、それでも目を凝らした。
「ゆがみなら追える。どう歪んでいるかわかれば、歪ませている力の元を辿れば…こうして!」
ねじれた空間の隙間から、空間に干渉しているアスプロスの小宇宙を正確に読み取り、驚いたことにその小宇宙を遡って、直接アスプロスに攻撃をしかけてきた。
むろん、まだそれは先輩のアスプロスに届くものではなく、易々と左拳で押さえ込むことが出来る。だが、レグルスが肉眼を超えた力をも解析できることは明白であった。
「…やるな」
アスプロスが他人を褒めることなど滅多にない。それだけ、アスプロスの基準は高いのだ。
けれども、レグルスはむーと頬を膨らませている。
「そんなこといって、余裕で受け止めたくせに」
空間のゆがみが消え、周囲にいつもどおりの景色が浮かぶと、アスプロスは子獅子へと近づいてその頭をくしゃくしゃと片手でかき回した。
「ふふ、まだお前は成長過程にある。技の威力に身体が追いつけば、俺といい勝負になろう」
「絶対追い越すからな!」
元気一杯の獅子座の守護者は、アスプロスからみれば、まだまだ幼い。
(目で見たものを、全て捉える、か)
ふいに、デフテロスの強烈な視線を思い出して、アスプロスは無意識に身を震わせる。あの視線は、レグルスとは違う。だが、何が違うのだろう?
目を凝らしても読めぬ心があることを、その時のレグルスとアスプロスはまだ気づくことはなかった。
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レグルスは凝視によって力の流れを読み取りましたが、心や魂や世界のかたちは、ラダとの対戦を通し、死んで初めて読み取れるようになったのかなあ。デフはアスぷをじっくり見てる割に全然中身を理解してなかったのが哀しいココロ。
今日もぱちぱちありがとうございます!
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木欒子の実を手に入れたサガは、冥府から戻ると宮の守をデスマスクたちに任せたまま処女宮へと向かった。シャカはいつものように、修練なのか寝ているのか判りにくい座禅を組んで黙想をしていたたが、サガが来訪を告げると、その意識をサガへと向けた。
「何の用かね」
「これを…」
差し出した手のひらには、小さな木の実が乗っている。
「ほう、木欒子の実か」
さすがにシャカは一瞥しただけで(目は開いていないが)判るらしい。
「これの加工方法を、教えてもらえないだろうか」
乙女座であるシャカに、木欒子の実の加工方法を尋ねるとなると、その目的は1つしかない。
「閉じ込めたい魂があるのか」
聖戦でも活躍したシャカの持つ数珠には、魔星の生死を判じるだけでなく、一時的に封じる機能もある。108ある珠のひとつひとつに強大な結界である天舞宝輪と同等の力を持たせ、冥闘士の魂を閉じ込めるのだ。その宝具を作るために、当時の乙女座聖闘士は命を落とすほどの小宇宙を使ったという。
シャカは、そのことを尋ねたのだ。
だが、サガは首を振った。
「いや、封印機能は必要ない。ただ、魂が収まる場さえ作ることができれば」
「封印を施さぬのであれば、場の固定のみですむ。命を削る必要もなく、次元を操る双子座であれば簡単に加工が可能だ」
言い終えると、シャカはサガの手に自分の手を重ねた。静謐な小宇宙が触れた箇所を通じてサガへと伝わる。
小宇宙による誘導だと気づいたサガは、すぐに波動をあわせて己の小宇宙を発した。実を破壊せぬよう外側から次元を現空間より切り離し、小宇宙を練り込み、独立した結界として固定させてゆく。
シャカは簡単と言っていたが、双子座のサガですらシャカの助けがなければ可能とは思われぬ技巧と精密さ、そして桁外れのエネルギーが必要な作業であった。
二人分の凄まじい小宇宙を飲み込んだ木の実は、原石が磨がれて宝石となるがごとく圧縮され、真円の珠となっていく。
しばらくしてシャカが手を離すと、サガの掌の上には、まるで光を内部に押し隠しているような、不思議な輝きを持つ珠が残っていた。
サガはしげしげとその珠を眺めた。その珠からはシャカの数珠とは異なり、双子座の…というよりも、サガの小宇宙が色濃く感じられる。
「感謝する」
「このくらい、いつでも」
頭を下げたサガへ、シャカはなんでもないことのように応えた。ただ、シャカはサガが頭を下げることの重みは知っていたので、面白いものをみたと口元に笑みを浮かべ、言葉を続ける。
「君らへの誕生日祝いと思えば易いものだ。…弟がそれほど大切かね」
説明を受けたわけでもないのに、まるで内面を読み取ったように尋ねるシャカへ、サガは隠すでもなく少し照れたように微苦笑した。
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同じ聖人カテゴリでも白サガとシャカは方向性が違っていて楽しいですよね。それもただの聖人ではなくて、片や二重人格、片や弱者への慈悲が無い(自称)電波ってところが大好きです。黒サガとシャカを揃えるとトンでもない事をやらかしそうで、ちょっと見てみたい気がします。
今日もパチパチありがとうございます(>▽<)心の灯火です。
今回は誕生日SSでなく、ロス→←サガでサガ→星矢なひととき
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(星矢が神聖衣を発現させた姿を、初めてサガが見た時のあの顔ときたら)
アイオロスはその時のことを思い出して、軽いため息をついた。
(魂を引き込まれているのが、傍から見てもバレバレなくらいポカンとしていて、サガらしくもない無防備さで一心に見つめていたな。そうしてすぐに、サガらしい訓戒を与えつつも、手放しで嬉しそうに賞賛したのだ)
負けず嫌いのサガが、心の底からだ。
星矢のことはライバルとして見ていないせいかもしれないが、自分が1度だけサガに褒められたときのことを思い出すと、気分が落ち込む。
『アイオロスこそ次期教皇にふさわしい立派な聖闘士だとわたしも思っておりました』
あれはどう考えても、嘘が8割だろう。
そんなサガでも、射手座の聖衣のほうは良く褒めてくれた。特に翼が好きなことは、言葉よりも雄弁な視線が物語っていた。サガにとっては、翼というものが、何か特別なものの象徴に感じられているようだった。天高く昇ってゆける、御使いのしるしであるかのように。
(でもサガ、ケンタウロスに翼はないんだよ)
アイオロスは目を閉ざした。こんなことで落ち込んだり怒ったりするのは、子供と変わらないと、心の中の客観的な部分が囁く。
(サガが好きなのは、俺ではなくて、サジタリアスのあの翼なのだ。しかも、今は本物の翼をみつけてしまった)
かつての自分は、なんの疑問もなくサガの特別は自分だと思えたのに。
珍しく人馬宮内で自室へ篭っていたアイオロスは、午後はそのままフテ寝をすることに決めた。
「サガがあんなに翼が好きだとは思わなかった」
星矢が無邪気に指摘する。サガは少しバツが悪そうに『すまなかったな』と、元気いっぱいな後輩へ返した。星矢は既に聖衣をパンドラボックスへとしまい、今は双児宮でお茶を飲んでいる最中だ。
「あ、怒っているんじゃないんだ。サガにしては珍しく興味津々って感じで、可動部分をみたり羽に触れたりして浮き立っていたから、よっぽど好きなんだろうなあって」
「あの神聖衣は、お前にとてもよく似合う」
それはサガの本音であった。ペガサスの青銅聖衣も星矢に似合っているが、神聖衣もまた、あつらえたように星矢になじんでいた。
「だが、わたしが好きなのは、翼ではなくてお前だ」
「えっ?」
苦笑しながら伝えられた言葉に、星矢が目を丸くする。
「最初に出会ったとき、お前はおまえ自身の足で十二宮を昇りきり、その拳でわたしを倒した。翼など関係なく、わたしはお前を認めている」
てらいもなく褒めるサガの視線は真剣で、星矢は過分だと思いながらも、真摯に受け止める。
「サジタリアスも…ケンタウロスに本来翼などない。それでも好きだったのは、今思えば翼の造形ではなくて、それを纏うものの魂を認めていたのだと思う」
どこか遠い目で、ここには居ない人間への思いを漏らしたサガへ、星矢は少し首をかしげ、少年らしい率直さをもって話す。
「それ、本人に言ったらいいと思う」
今度はサガが目を丸くする。まるで考えもしなかったことを勧められたかのように。
「そんなことは、出来ない」
「どうして」
「わたしなどにそのような事を言われても、彼とて反応に困るだろう」
「そうかなあ」
追求を誤魔化すように紅茶を口にしたサガを見て、星矢は『このひと意外と不器用なんだなあ』という感想を浮かばせたが、賢明にもそれは言葉にされることはなかった。
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途中っぽいですがもう出勤時間なのでここまで(>x<)
サガが、サジタリアスの翼ではなくアイオロスが好きだったのだと自覚するあたりのお話を丁寧に書きたいです。文章力欲しいココロ…
今日もぱちぱち有難うございます!いただいたパチで仕事を頑張れます。