以前デフテロスのカニバというか死食を匂わせる小話を書いたんですけれども、デフちは村人に人を食らう鬼とか思われてますよね。蘇生後のアスプがそれを知っていろいろ勘違いすればいいのに。
って拙宅ではついあたりまえのように聖戦後に蘇生した設定なんですけれども、LCで聖戦後に蘇生する設定って、車田版での蘇生設定よりも無茶度(捏造度)が高いですよね…
でも幸せになってる双子が見たいんだー!(>△<)
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「村人が話しているのを聞いたのだが…」
アスプロスが珍しく逡巡しながらデフテロスへ声をかけた。
「なんだろうか、アスプロス」
「その、お前が鬼扱いされているのは知っていたが、人を食らうとまで囁かれている。無知蒙昧な村人どもはともかく、白銀聖闘士まで同じことを言っていた。ペルセウスなど、聖衣がなければ自分が食われていたかもしれないなどと零していて…」
「それがどうした」
「…本当なのか?」
デフテロスは内心で目を丸くした。自分がどう誤解され恐れられようと今までは放って置いた。避けられることには馴れていたし、カノン島で暮らすのに、余計な交流は鬱陶しかったこともある。
自分を鬼と恐れて誰も近付かないなら好都合だ。
だから、そんな噂をあえて利用していた部分はある。
(アスプロスとて、落ち着いて考えればそのくらい直ぐ思い至るはずなのだが…)
しかしアスプロスの目は思いつめたように真剣だった。
闇の一滴の後遺症なのか、どうもアスプロスの思考はときどき突飛な方向へ突っ走ることがある。デフテロスはそんな事を考えながら兄を見た。
その無言の時間を、アスプロスはさらに誤解した。
「そ、その…時々俺に噛み付くのは、やはりそのせいなのか」
「………」
デフテロスは決して頭の巡りが悪いわけではない。むしろ頭の切れはとても良い。それでも、アスプロスの思考回路が追いかけ切れなくて、目が一瞬テンになった。
アスプロスは重大な決意をしたかのように、デフテロスを真っ直ぐに見た。
「お前がいつからそのような嗜好になったのかは、知らぬし問わん。だが、これからは我慢しろ。誰かを食いたくなったら、その時は俺が代わりにまた噛み付かれてやるから」
「…本当か?」
「嘘は言わん」
デフテロスは黙って顔を近づけた。アスプロスはじっとそのまま動かない。視線はデフテロスにすえたままだ。
真っ直ぐな兄の視線を浴びながら、デフテロスはアスプロスの頬へ軽く噛み付いた。
誤解されたままでも別に構わないと思った。
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勘違い兄。
それはさておき、BLの王道で、「俺はホモじゃない、お前だから好きなんだ」っていうのがあると思うんですが、それがありなら「俺はカニバリストではない、兄さんだから食べたいんだ」ってのもありですよね。ねって誰に言っているんだ。
13年前がこんなだったらいいのに。(例のシーン改変)
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「あらたなる聖戦のときが差し迫っている。そこで私はそろそろお前たちの身を固めさせたいと思う。全員への触れはまた後日にいたすが…」
老教皇シオンの玉座の前には、跪くサガとアイオロスがいる。黄金聖闘士のなかでも最年長の二人は目覚しい頭角をみせ、聖域の両翼と呼ばれていた。
「仁・智・勇を兼ね備えたアイオロス、これよりお前にサガの身を任せることにする」
突然の見合い席状態になった教皇の間で、アイオロスは驚き顔を上げた。
「は?わ、わたしがですか…」
一方サガは黙ったまま下を向いている。
教皇は玉座に座ったまま話を続けた。仲人にしては態度がでかいが、教皇なので仕方が無い。
「黄金聖闘士は十二人とはいえまだ幼い者が多い。白銀聖闘士、青銅聖闘士しかりだ。だが遅くとも十年ののちには必ず聖戦が起こる。その時の為にお前たちは夫婦となり、二人で協力して立派にアテナを成長させ、聖闘士たちを育ててもらいたい…サガよ」
「はっ」
シオンはサガには労わるような声をかけた。
「聞いたとおりだ。アイオロスに力を貸して、これからも聖域のためにつくしてくれ。よいな」
「はい、アイオロスこそ我が夫に相応しい立派な聖闘士だとわたしも思っておりました。このサガ、アイオロスに協力を惜しまず、正義とアテナのために一命をかけて尽くしましょう」
穏やかに微笑むサガの笑顔の裏で、黒サガが『わたしが双子座になったのは男の嫁になるためではない!』とかんかんに怒っていたのは、余人の知らぬところであった。
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突っ込みどころ満載。
ロスサガ原稿に台詞貼り終わた!(>▽<)あとはコメントだけ!
「みんな両親のいうことを良くきいて、しっかりまなぶのですよ」
サガがロドリオ村へ慰問へでかけたとき、子供たちにかけた言葉です。白サガは本当に子供たちが好きそうですよね。そして好かれそうです(^-^)
動物にも好かれる体質なのか、子犬に追いかけられたりしてます。
サガは皆に愛される雰囲気の人なんですよね。更にほっとけない雰囲気もあるといいますか、あの醸し出すオーラは只者じゃないですよ。
偽教皇になる前、村人に囲まれていた時の笑顔は偽善などではなく、心からのものだと信じている管理人です。
で、冒頭の台詞ですが、シオンに化けてる割に口調がサガですよね。子供達に囲まれてうっかり素が出ているのでは…。
200歳超えたシオンなら「みな両親の言う事をきき、しっかり学ぶのだぞ」のように、もう少し口調からおっとり成分が抜けるんじゃないでしょうか。でもサガがシオンと入れ替わって暫くは違和感を持っていた周囲のひとたちも、13年もたつと、周囲の人間も「ああシオン様も年をくって丸くなったなあ」というような勘違いで見てくれているのかもしれません。
シオン様は年を重ねても丸くはならないですけどね。うろたえるな小僧ですけど!(笑)
ただ、丸くはないけどこっそり優しい人なのです。こっそりなので損をしてるんじゃないかなと思います。童虎あたりはそのことを良く判ってます。
年長組はシオンが生きていた頃にもう大分成長していたので、シオンの優しさにちらちら気づいてはいます。年少組はまだ幼かったので「怖くて威厳のあるひと」という印象のほうが強かったのではないかな?
余談ですが、ロドリオ村では何気に星矢の主題歌を歌ってる村民がいます(笑)単なるモブシーンなので深い意味はないんですが、まだ星矢が聖域に乗り込む前なので、むりやりこじつけると、サガの訪れに合わせてペガサスの歌が歌われるということ自体が天啓であった…みたいな話が作れそう。
あと、この慰問のとき、自分の犯した罪により死を恐れるカシモドへ、サガは罪を犯さず死ぬ人間はひとりもいないと告げ、「神は死んだ人間まで罰したりしません」と諭します。これによってカシモドは穏やかに亡くなるのですが…サガのその言葉は、この段階では真実ではありませんよね。
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カシモドが目を開けると、そこは不自然なほどに静かな大広間だった。
高い天井、磨かれた大理石の間に、カシモドだけがぽつんと一人立っている。
きょろきょろ周囲を見回してみても、ここがどこだか判らない。どうやってこの場所へ来たのかも覚えていないのだ。
「これよりお前の処遇を伝える」
突然、壇上のほうから声がした。感情の篭らぬ事務的な声だ。
見上げると、まだ若く髪の長い青年が、大きな記録書を広げてこちらを見ている。
「しょ、処遇とは?」
「お前は生前にいくつか罪を犯している。よって、その罪に応じた地獄へ行く事となる」
「地獄!」
はっきりとカシモドは思い出した。そうだ、自分は死んだのだった。
「お待ちください、確かにわたしは罪を犯しています。しかし、死んだら罪は清められると教皇様が」
「教皇?」
羽ペンで書類に何かを書き付けながら、その青年は鼻で笑った。
「ああ、偽りの教皇の偽りの言葉を信じるなど愚かな。安心せよ、あの業深き者に比べればお前の罪は軽い。針の山程度で済むだろう」
「にせ…教皇?」
「大体、罪を犯しておいてただで済むはずがあるまい。お前たちはハーデス様の名の下に、永久にこの世界で償い続けるのだ」
「そんな…そんな!あの方が嘘をついているなど…!」
しかし、目の前の青年は、カシモドの動揺など全く気にも留める様子はない。
「それでは次の罪人」
バルロンのルネが告げると、カシモドの姿は消えて、また新たなる亡者が大広間へと落ちてきた。
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…後味悪っ(>△<;)
でもでも、偽教皇サガの言ってた事って、あとで沙織さんがハーデスに告げることとほぼ一緒なんですよ。人間は神ではないので心ならずも罪をおかしてしまうものだ、だから死後まで罰するのは間違いだ…って。
ハーデス編のラストを知ってから最初の方を読み返すと、やっぱりサガの信じ望んだ「神」に足る対象は、他の(星矢世界での)どの神でもなくアテナなのだなあって思います。
そして、ハーデスを倒す事によって人間に優しい死後を与えてくれたアテナを、サガはより深く愛すると思うのでした(アガペー的な意味で)。
サガは、アテナ(沙織)のことを知れば知るほど、愛さずにはいられないと思うココロ。
夜の間に書き込もうとしたら、忍者メンテナンスで更新ができずこの時間になりました。そういえば事前に連絡が来ていたような…サガならそんな事はないんだろうなあ。事前に綿密な計画をたて、寸分違わずいろいろ実行出来るんだろうなあ(>ω<;)
以下、夜の間に聞こえる庭の虫の音を聞きながら、夜に書き込まれるはずだった双子神会話SS
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地上から黄泉比良坂へと降り立ったタナトスは、軽く手をあげ、ローブの袖を振った。すると袖口から億万とも思えるセミたちが飛び立ってゆき、雲霞のごとく空を覆ってゆく。
その羽音だけでも大音量だというのに、セミたちは一斉に鳴き始め、虫の響きが不毛の大地を揺るがした。物理的にではなく、セミの命が音を発しているのだ。
タナトスが鬱陶しそうにもう1度手を振ると、大音声はぴたりと止み、セミの群れは黄泉比良坂にあいた暗渠の穴へと飛び込んでいく。穴は冥界へと繋がっている。
飛びこんだ虫たちは地の底へ到達する前に形を失い、ただの影となって四散していった。
「仕事は終わったか」
いつのまに来ていたのか、ヒュプノスが後ろから声をかけた。
「ああ、この時期になると、あれらを迎えに地上へ赴かねばならぬ。面倒なことだ」
ぶすりとした顔でタナトスが答える。
「セミは不死と再生の象徴だからな、死を司るお前としては苦手であろう」
「フン、不死はどうということもない。我ら神々とて不死ではないか。相容れぬのは再生のほうだ」
「そういうものか。しかし命というのは輪廻を介し、押しなべて再生するものだろう」
「忌々しいことにな。ハーデス様が地上を支配なさっていたら、命のサイクルなど破壊されていたものを」
「聖戦に負けたことを、今さら言っても始まらぬ」
苦笑するヒュプノスへ、タナトスは片手を差し出した。掌の上には虫籠が現れ、中を覗くと1匹のコオロギが入っている。ヒュプノスは虫籠を受け取り、首をかしげた。
「これは?」
「秋の音を肴に、お前と美味い神酒でも酌み交わしたいと思ってな…この秋、地上で最初に死んだコオロギだ」
コオロギは羽を震わせ、灰色の世界にコロコロという音色が響く。
珍しく驚いた顔をしているヒュプノスをよそに、タナトスはさっさとエリシオンへ向けて歩き始めていた。
その背を慌てて追いながら、ヒュプノスは笑みを浮かべ、聞こえぬよう小さく小さく呟く。
「コオロギは死の前兆を告げるというからな…お前の先触れとなる音色ならば大事にしよう」
双子神の思惑など関係なく、コオロギは命の歌を奏で続けている。
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タナトスとサガの話も書きたい季節です。
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「明日、サガと出かけてこようと思います」
女神がにこにこと報告した。次期教皇アイオロスは微笑んだものの、現教皇シオンはやや渋い顔だ。
「念のため護衛をつけたほうが宜しいのでは?アテナ」
改心したとはいえ、サガは赤子の沙織に短剣を向けたことのある反逆者だ。万が一ということもある。
アテナもそれは判っていたが、首を横に振った。
「私は彼を信じていますし、彼の人となりを知るために行くのですから、二人だけの方が良いと思うのです」
どうやら外出はサガとの親睦目的であるらしい。
アイオロスが口を挟んだ。
「それで、どちらへお出かけに?」
「ふふ、相手の事をよく理解するには、相手の好きなものと嫌いなものを知るといいって言うでしょう?だから今回のお出かけ先は、サガの意向を汲みました」
「「サガの意向?」」
シオンとアイオロスの声が重なる。
「そう!サガが大好きで、彼の寛げる場所ですよ」
アイオロスとシオンは顔を見合わせ、それから口々にアテナへ進言した。
「あやつの愚弟のおる海底神殿へ行くのであれば、やはり護衛が必要であろうかと」
「二人きりで温泉って、まさか混浴ですか」
女神はにこにこ黙って二人の言葉を聞いたあと、ぼそりと返した。
「行くのはロドリオ村の慰問にです」
しばし三者のあいだに流れた無言の空間の中で、何となく二人のサガ像を理解したアテナだった。
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うあ、30分ほどいつもより遅く起きたのでチャンピオン感想を書く時間が消えました。H様、メールの返信が遅れていて申し訳ないです。で、できれば今夜にでも…(>ω<)