星矢関連二次創作サイト「アクマイザー」のMEMO&御礼用ブログ
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かなりデスマスクに甘えているサガ
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カノンが海界へ行ってしまって留守をしているとき、ときどきデスマスクが双児宮へ食事を作りにきてくれる。最初、『もう教皇ではないのだから、わたしの面倒を見なくてもいいのだよ』と伝えたことがあるのだが、手にした麺棒で頭をこづかれてしまった。そのことが嬉しくて、つい好意に甘える関係が続いている。
カノンのつくる食事も美味しいが、デスマスクの作る食事もまた格別に美味しい。そして彼の食事にはデザートがついてくる。カノンは甘いものを作らないので、これはデスマスクが食事をつくる時だけのお楽しみだ。
食事のあとはリビングへ場所をうつし、たわいもない話をする。チェスで駒を戦わせることもある。デスマスクはああみえて教養にとみ、会話も楽しい。偽教皇をしていた13年間は、仕事上の会話がほとんどであったため、じっくりと私的に言葉を交わしたのは聖戦後になってからなのだが、そのときあらためて彼の回転の速さに舌を巻いたものだ。
会話が弾んで夜遅くなっても、決して泊まって行かずに巨蟹宮へ帰ってしまうのだけは不思議だ。枕が替わると眠れないようなタイプには見えないのだが。

「デスマスク、今度カノンがいるときにも料理を作りにきてくれないか」
ある日、自分だけがこの美味しさを味わうのは勿体無くて、図々しいとは思いつつも頼んでみた。パスタ生地を伸ばしていたデスマスクの手が止まる。
「あいつがいるときは、あいつの作るメシを食っとけよ」
「弟にもおまえの料理を食べさせたい。あれも口が肥えているので、きっと喜ぶ」
しかし、デスマスクは軽く肩をすくめる。
「弟がいるときに、家族のスペアはいらんだろ」
思わず麺棒で殴ったら、打ち所がわるかったのか昏倒してしまったので、わたしは慌ててヒーリングをする羽目になった。軽くこづいただけのつもりだったのに。

何だかんだ言いながらもデスマスクは私の頼みを聞きいれて、カノンが帰宅した日に食事を作ってくれた。仕事で疲れている日にカノンに食事を作らせるのは申し訳ないし、わたしが作るよりデスマスクの食事のほうが美味しいから、カノンも嬉しいだろうと思う。案の定カノンは食事を残さずたいらげて旨いと褒めていた。デスマスクの料理への評価が高いと、なんとなくわたしの鼻も高い。
ただ、その日の食事にはデザートがついていなかった。

そして、デスマスクが帰ったあと、カノンに『あまり後輩に面倒かけるなよ』と何故かクギをさされた。

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今日もぱちぱちありがとうございます!毎朝の癒しです。ご返信はのちほどさせて下さいね(>▽<)
おまけ
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タナトスの神力により、エリシオンの神殿へと戻ったサガへ、死の神は1輪の花を差し出した。地上の花ではなかった。決して枯れることのない、七色の光を彩なす天上の花だ。
「これを、わたしに?」
「四年目は花婚式というのだろう、人間の世界では」
ぶっきらぼうな言い方で渡されたそれを、サガはそっと両手で受け取った。散ることのない代わりに、実ることもないエリシオンの花。この徒花は今の自分にふさわしい贈り物の気がした。
「ありがとう、タナトス」
サガは微笑んで、そっと花の香をかいだ。
芳香は控えめに肺へ染み渡り、サガの奥底の痛みをやわらげてくれた。

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というわけで、本日の言い訳コーナ~(゜◇゜)!
相変わらず準備期間ゼロの四月一日でしたが、昨日はお休みだったため好き勝手にSSを書き連ねておりました。タナサガ新婚話は毎回どのキャラも駄目人間設定なのですみませんすみませんと思いながら書いています(>ω<;)
そもそもタナトスとサガがお互いが1番でないうえ、自分を大事にしてくれる人(神)たちをおざなりにしていることに気づかないモラトリアム空間を営みつつ、結婚形態を続けているうちに何となく相手への情は沸いた…というような駄目設定。
皆から逃げてる白サガが1番痛い目みるはずなんですけど、今回はまず黒サガのほうから痛い目を見る流れで。サガやタナトスがホントに振られる前に何とかさせたいなあと思いつつ、タナサガ好きなので続けますホントすみません。ヒュプノスがオネイロスとくっついたら、タナトス凄いショックを受けると思う。しかも何でショックを受けたかわからないと思う。同じくアイオロスがカノンとくっついて、シュラがリアと、デスがアフロとそれぞれまとまって、サガがぽつんと一人残されたら、白サガは皆におめでとうって言うけれども、何で寂しいのかこれまたわからないと思う。そんでもって夜になったらひとりでぼろぼろ泣くと思う。博愛ゆえの恋愛音痴。
でもタナトスとサガがくっつくことでお互いに学んだことも多いので、マイナスばかりではないという感じで。

1年に1回の好き放題SSに付き合ってくださったかた、本当に有難うございました。ご返信は夜にさせてくださいね♪H様、夜にメールもさせて頂きますがぜんぜん問題ないですよう!
黒サガは聖域外れの岩に腰を下ろしていた。
軽い気持ちでエリシオンから出てきたものの、誰一人として相手にしてくれなかったことは、人心の機敏に疎い彼ですら多少傷ついていた。正直なところ自業自得であるし、やりかたの拙さが原因であるのだが、他人の好意を得ようなどと思ったこともない彼にとって、そんなことは脳裏に浮かびもしていない。
彼が理解したのは、自分が思ったよりも必要とされていないと言うことだけだった。
(いや、まだ押しかけていない相手がいる)
ふとそんなことを考えてしまったのは、無自覚ながら相当ダメージを受けている証拠だ。こちらのサガが、このような場面でアイオロスを俎上にあげることなど、まずプライドが許さないからだ。
今回もすぐに彼は首を横に振った。自分のこのような状況など、アイオロスにだけは知られたくなかった。彼にだけは神のような自分であらねばならない。
そこには、負けたくないという以外の理由も存在していたが、サガがその感情を認めることはなかった。いや、認めるということ自体が負けを受け入れるようなものかもしれなかった。

「ねえ、エリシオンを出てきたんだって?」

どきりとサガの心臓が跳ね上がる。
たった今脳裏に浮かんだばかりの、ここにいるはずのない男の声だった。
デスマスクが彼を『タイミングの良い男』と評していることなど知る由もなかったが、サガが振り返ると、オリーブの木立の向こうからアイオロスの茶褐色の金髪と、サガの心臓を射抜くような翠緑の瞳が見えた。
「誰から聞いた」
「風の噂で」
アイオロスは教皇見習い用の、しっかりとした厚手の法衣を着ていた。おそらく此処へ来る直前まで、教皇宮で修養に励んでいたにちがいない。
「わたしがどこへ行こうと、わたしの勝手だ。貴様には関係ない」
「君がエリシオンを出たあと、何をしようとしたか、俺は知っているよ」
サガへの返事としては唐突であったが、芯を貫く言葉でもあった。サガの呼吸がほんのわずか止まり、それから瞳に憎しみの色が宿る。どこから情報を得たのだとは思わない。かつて自分が偽教皇をしていた時も、教皇宮にいながらにして、世界各地から情報を得ることが出来た。あの場所は人智を超えたところにあるのだ
「……笑いにきたのか」
「違うよ」
「では何だ」
「サガ。どうして知っているくせに、知らない振りをするのだ」
「『わたし』は知らん!こんな感情など!」
それは確かに闇を受け持つほうのサガが知るはずのない理由と感情であった。そういったものを分担するのは、通常もうひとりのサガであったので。
「君もサガのはずじゃないか」
アイオロスはじわりとサガの退路を削っていく。
「浮気相手を探しているんだよね」
「それが、どうした」
歪んだ笑みで悪意を向けるも、アイオロスは引こうとしなかった。
「どうしてそんなに、自分を傷つけようとするのかな」
「は?何だそれは」
「どうして俺から逃げるの」
真っ直ぐにサガを見すえる瞳には、底の見えぬ深淵が浮かんでいるようだった。のみ込まれるかの錯覚に、黒髪のサガをして後ずさらせる。
彼が恐れたのは”のみこまれたら、どうなるのだろう”と一瞬考えてしまった己の思考の不確かさだった。彼のような存在にとって、自分で自分を信用できない瞬間というのは、何より恐ろしいものだ。
サガが下がった分、ゆっくりとアイオロスが歩を進める。
狩人の伸ばした手が獲物に届こうとしたそのとき。
ふいにあたり一面へ、強大な死の神意が降り注いだ。
銀色の光が粒子となってはじけ飛んでいる。このあたりは外れとはいえアテナの聖域だ。聖域を満たしているアテナの暖かな小宇宙が、冷たい死の小宇宙に反発しきらきらと舞い散るのだ。
「タナトス!」
サガが聖域に降臨した神の名を呼んだ。どこかほっとしたような色の混じる声に、アイオロスが冷えた視線を向ける。もう少しで、彼の中身を洗いざらいひっくり返してやれたのに。
それでもアイオロスは次期教皇として、やってきた神に礼を取らねばならなかった。教皇はあらゆる権限を持つ代わりに、私情で振舞える立場ではなくなる。
「ようこそ、死の神よ。聖域に何ぞ御用がおありか」
判りきった問いを、茶番と思いながらもアイオロスは尋ねる。
「嫁を迎えに来た」
幸いなことに、タナトスはアイオロスの心情を読むどころではなかった。サガを見つけると髪の色など気にせずどなりつける。
「夫に迎えにこさせるとは、どこまで出来の悪い嫁なのだ貴様は!」
「出来が悪くて悪かったな。それゆえ離縁するのだろう」
「誰がそのようなことを言った。だいたい、お前のような出来の悪い嫁を、オレ以外の誰が相手にするというのだ」
サガが目をしばたき、タナトスを見る。
しまった、とアイオロスは胸のうちで舌打ちをした。タナトスが来る前に、さっさと口にしてしまえばよかった。まさかタナトスが此処まで来るとは思っていなかった。今更見通しの甘さを後悔しても遅いのだが。

アイオロスの予感どおり、サガは目を伏せて自嘲した。
「残念ながら、そのとおりのようだ」
今さらアイオロスが違うと言っても、伝わらないだろう。
タナトスが駄目押しのようにサガへ告げる。
「おまえはオレが飽きるまではオレのものだ。勝手な里帰りなど許さん」
それを聞いた黒サガは笑い出した。笑い声は次第に大きくなり、あいまに髪の色が変わっていく。
タナトスの豪奢な銀髪とは対照的な淡い金髪があらわれ、アメジストのようなやさしい夕暮れ色の瞳がまたたくと、人格転移は完了した。
「……わたしは、お前のところに居てもいいのか?」
同じ音質でありながら、印象のまったく違う声がタナトスへ問いかけている。

アイオロスは強く拳を握りこんだ。
(タイミングは良いはずなのに、どうしていつも間に合わないのだろう。どうして自分は教皇に選ばれたのだろう)
聖域を巻き込む立場でなければ、「行くな」と言えるのに。

春を迎えた聖域には、エリシオンには及ばなくとも、あちらこちらと花が咲き乱れている。
サガは一度だけアイオロスのほうを振り向いた。視線はアイオロスの表情ではなく、きつく結ばれた握りこぶしに向けられている。
「迷惑をかけたな、アイオロス」
その言葉と共にサガとタナトスは消え、アイオロスは拳を地面へとたたきつけた。

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主にサガが悪い。
「嫁が出て行ってしまった」
慌てた様子でタナトスが駆け込んできたので、ヒュプノスは遠い目をした。
「とうとう愛想をつかされたか」
ヒュプノスは大そうタナトスを愛しているのだが、表面にそれが現れないため、傍目にはぞんざいに扱っているようにしか見えない。
「違うわ!離縁の話をしただけだ」
「お前から離縁を言い出したのなら、慌てることはあるまい」
「結婚解消の方法があると言っただけで、離縁するなどひとことも言っておらん」
「……お前は短慮なだけでなく、馬鹿なのか」
繰り返すがヒュプノスはタナトスをとても大事にしている。しかしそれが表面に現れないため、とても損をしていた。
タナトスもさすがにムッとする。
「お前に相談したオレは確かに馬鹿であったな」
そのままくるりと背を向けて出て行こうとしたので、慌ててヒュプノスはタナトスの法衣の裾を踏んで引き止めた。
「離婚する気はないということか」
「玩具を捨てるのは、オレが飽きてからだ!勝手に出て行くなど恩知らずも甚だしい!」
いろいろ言い分が図々しいのは、神なので仕方がない。
ヒュプノスは密かにため息をつく。タナトスと自分が水入らずの時間をもてるのは、もう少し先になりそうだ。
「ならば拾いに行けばよい。拾い上げたうえで勝手に出て行くなと命ずれば戻ってくるであろう」
「戻ってくるだろうか」
「人も玩具も、必要とする者のところに落ち着くものだ。出て行かせるつもりがないのなら、手元で使い捨てればよい」
とても嫁に対する会話とは思えないが、人間を塵芥とも扱っていなかった彼らからすると、これでも格段の進化なのである。
「そ、そうだな…戻ってきて欲しいわけではないが、アレはニンフたちのアプローチからのいい弾除けになるからな」
「……」
「話を聞いてくれて感謝する、ヒュプノス」
そわそわと出て行ったタナトスの姿は、家出した妻を追いかける夫そのものであったが、本人としては使い勝手の良い玩具を拾いに行くだけのつもりでいる。

「水が器に従うというのは、神にも当てはまるのだな」
形式だけの婚姻が、心の形を変えることもある。
残されたヒュプノスは不満そうにぼそりと呟いたが、己の撒いた種がそれなりにサガへ痛い目を見せているであろうことを想像して、少しだけ溜飲を下げた。

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でもヒュプノスはサガが嫌いでもないという不思議。
それでも最初は平穏な空気だったのだ。
黒髪のサガが尋ねてきた時、アイオリアは驚きはしたものの、もうひとりのサガへするように挨拶をして迎え入れた。過去をなかったことには出来ないものの、恨みつらみに拘るよりも、辛酸を糧とした今の自分を誇りにして、真っ直ぐに前を見て行こうと決めていたのだ。
平穏でなくなったのは、サガの一言からだった。
「わたしと寝てみる気はないか」
「は?」
何を言われているのか理解するまでに時間が掛かったのは、決してアイオリアののみこみが悪いせいではない。それくらい突拍子もない言葉であっただけだ。
「わたしの浮気の相手をしろ」
「浮気……?タナトスはどうした」
「エリシオンにいる」
「本気なのかどうか知らぬが、おまえの夫だろう」
「フン、その夫から離縁を言い出された。それゆえにわたしの価値を見せ付けてやろうと思ってな」
鼻で笑うサガと対照的に、すうっとアイオリアの目が細くなる。
「俺を馬鹿にしているのか」
闇のサガは何故アイオリアが怒っているのか判らない。怒っていることすら判っていないかもしれない。
「このわたしが誰かを誘うなど、滅多にないことなのだぞ」
「汚らわしい」
アイオリアもまた、こちらのサガの思考回路に慣れていない。それほど親しくもない。そのため、言葉の奥の真意を汲み取るような芸当は出来なかった。
よって会話は平行線だった。
黒サガはきょとんとすら見える表情でアイオリアを見る。
「わたしは、汚らわしいか」
「冥界の悪神などと通じているだけでも汚らわしいのに、操すら立てられんのか。おまえは誰でもいいのか?その堕落した因業に俺を巻き込むな!」
「誰でもいいわけではないぞ」
サガがタナトスとの結婚生活で身に付けた習慣の1つに、『嘘をつかないこと』がある。タナトスは自らの前で人間が偽ることを嫌い、また大概の思考は神の前で隠そうとしても無駄である。寝ぼけて大らかに虚言を流したポセイドンと違い、タナトスは婚姻まで結んだ相手の嘘を許さないだろう。
だが、本音を漏らさぬこちらのサガが口にする言葉は、嘘ではないけれども真実でもなかった。
「おまえは、アイオロスに似ているからな」
これが、アイオリアの怒りを決定的にした。
アイオリアは物も言わず黒サガの胸ぐらを掴むと、そのまま引きずるようにして扉の外へ叩きだす。それきりサガに扉が開かれることも声がかけられることもなかった。
「……なにが、不満なのだ」
自分の言葉がアイオリアを傷つけたことは察したサガであったが、何がいけなかったのか、聡い頭脳を持ちながらさっぱり判らないのであった。
当然、自分が傷ついたことには全く気が付いていなかった。
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