星矢関連二次創作サイト「アクマイザー」のMEMO&御礼用ブログ
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2012Xmas.jpg昼寝から目覚めたら友人からクリスマスプレゼントが届いておりました。幾つになってもこういうのは嬉しいですね(^-^)

私からはケーキや月の土地やアレンジメントフラワーや今治ふわふわバスタオルマイセレクションやぷち雑貨などを送りました。
月の土地はクリスマスシーズンにかぎって、連名で購入できるらしいんですよ(>▽<)当然、サガとカノンの名前で購入する妄想とかしたんですけれども、星矢ワールドにおいては、月の女神アルテミス様がいらっしゃいますので「また人間が勝手に」とか怒りそうですね(汗)
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「カノン、わたしたちの名前で土地を買ってみた」
「はあ!?」
働きすぎて兄がボケたのかと、カノンはソファーから飛び起きた。黄金聖闘士となったサガは、雑兵時代よりもいくばくかマシな収入を得るようになっていたが、そこまでの貯蓄はまだないはずだ。あったところで、どうだというのだ。聖闘士はいつ死ぬか判らぬ身であり、財産なんぞ持っていても仕方がない。買った土地に二人で住むことが許されるとも思わない。サガは双児宮に縛られ、カノンはサガに縛られる。
だから『生きているうちに、他人より優れたこの力を自分のために使って人生を楽しもうぜ』と、常々発破をかけているのに、サガは聞き入れようともしない。
冷めた視線の弟へ、サガが苦笑しながら1枚の紙切れをみせた。それは証書らしく、月の全体図と、その一部の土地が双子のものとなった旨が記載されている。いわゆる、ジョーク販売の類である。
なんだ、という感想とともに、倹約家のサガがそのようなものにお金を払うなど、どうしたのだろうという気持ちが沸く。考えてみれば、アテナ信者のサガが、異教のはずのクリスマスプレゼントを用意するのだっておかしな話だ。
「何かあったのか?」
「いや。そんなことよりも、メリークリスマス、カノン」
誤魔化された。
何かあったところで、サガが応えてくれるはずも無いのだった。
カノンはため息を押し殺してその証明書を手にする。それでもこれは、サガの用意してくれたプレゼントなのだ。
「お前の買ったこの土地に、家でも建てて堂々と一緒に暮らそうか」
この地上でなければ、許されるかもしれないしと伝えると、サガは泣きそうな顔で微笑んでいた。

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カノンとサガはともかく、アスプロスとデフテロスは聖域から逃げちゃっても良かったと思うんだ(>ω<)

ところで、騎士のヘルメット型編み帽子を見たら、双子座聖衣ヘッドパーツ型の編み帽子も出来るんじゃないかと思いました。子デフテロスが一生懸命編んでアスプロスにプレゼントするわけですよ。まだ白い頃のアスぷなら喜んで受け取ってくれるはず!闇の一滴を落とされたあとのアスぷだと、教皇メットの方が喜ばれそうですけれども。
 
ああああ何故にクリスマスにSSがタナトス三昧になっているのか。
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デスマスクは遠い眼で異界ゲートから出てきたタナトスをみやった。冬至・世界滅亡(予定)日に続き、クリスマスにまで聖域に入り浸る神というのは如何なものだろう。とりあえず、死の神が暇なことは理解した。
しかし、今日のタナトスは来訪早々、機嫌がよろしくない。
「何故ハリストスとやらばかりが、このように誕生日を祝われるのだ。塵芥どもめ、オレには1度たりとてこのようなイベントを企画せぬくせに」
ハリストスとはキリストのことである。
この季節、地上の1/3はクリスマスで華やいでいる。同じ神でありながら、ほぼ祝われたことのないタナトスとは雲泥の差だ。
「ほかの神様の人気をやっかむのは大人気ないですよ」
「やっかんでなどおらん!塵芥の信奉など不快なだけだ!」
「では、ほうっておけば良いじゃないですか」
「ヒュプノスがそのように冷たくほざくので捨て置いてきたというのに、貴様まで同じ事をいうとは」
その場面が眼に浮かぶようである。そして、それによりますます拗ねたタナトスが、地上へ八つ当たりに来たというわけだ。
(そりゃ言うだろう、アンタは子供か)
ヒュプノスには同情を禁じえない。
ただ、タナトスの気持ちも判らないでもない。おそらくタナトスは、人間からの人気云々はどうでも良くとも、そのときにヒュプノスには構って欲しかったに違いないのだ。
「人類を滅亡させようなどとせず、安らかな死を約束すれば、多少は人間からの待遇が良くなるんじゃないスか?」
「信奉など望んでおらぬと言った。しかし、オレとてケーキや鶏肉の供物は受け取らないでもないぞ」
敬ってもらわずとも結構だが、捧げ物を貰えるならば貰うというスタンスらしい。
「今回の来訪は食い物目的かよ」
「美味い供物でないと受け取らぬぞ。ヒュプノスに自慢するゆえ」
違った。『貰えるならば』ではない。貰うことは決定事項であった。
珍しく双児宮へ向かわず巨蟹宮へ居座っているなと思っていたのだが、これはデスマスクに自分を祝う供物を提供せよと要求しているのである。
サガの手料理は壊滅的だし、カノンはタナトスをもてなしはしないだろうので、目的行使の手段としては正しい。
自分なら断らずに作ると思われているのも納得いかないが、とりあえず貯蔵してあった上等なワインをタナトスのために開けてやることにした。開栓してすぐにはワインの香りがふくらまないため、デカンタに移して空気になじませ、その間にカナッペとチーズを添えた簡単な肴を作る。
「それ飲んで少し待っててくれ。ハリストスではなく、アンタにちなんだ供物を供えれば満足するんだな?」
言われたタナトスの顔が、ぱっと明るくなった。やはり期待してたようだ。
そんな風に毎回タナトスの我侭を聞くから押しかけられるのだけれども、わかっていても外交と割り切って要求を叶えるところが、デスマスクのスペックの高さであり、気のいいところである。13年間、同じように黒サガの世話をしてきた経歴は伊達ではない。

暫くしてデスマスクは、ワンカップサイズのクリスタルガラスの小皿に何かを入れて戻ってきた。
差し出されたタナトスが覗き込むと、粒のままの小麦煮にくわえ、ザクロとぶどうにクルミなどを細かく砕いた果実類、そしてそれへ砂糖と葡萄汁のシロップが混ぜられただけの、素朴なお菓子が盛られている。
「イタリアとギリシャにちなんだ死者の菓子(dolce dei morti )だ。イタリアでは死者の日(11/2)に食ってる。生を意味するシンボルも入ってるが、クルミなんかは死も象徴してるし、ザクロは冥界に縁ある果物だし、まあいいだろ」
「貴様、死者の日は、死者が煉獄にある期間が少なくてすむよう祈る日であって、オレのための日ではないぞ」
「神様なんだから、細かいことを気にすんなよ」
「気にするわ。
それに、思いっきりハリストス由来ではないか
デスマスクの強引なこじつけにぶつぶつ言いながらも、タナトスは添えられた木製匙でそれを食べ始める。なんだかんだ言って、デスマスクの出す食べ物のレベルを認めているのだ。
数匙分しかないそれは、あっという間に食べつくされてタナトスの腹に納まってしまった。
「まずいとは言わぬが、足りぬし、華やかさがない。それにこれはケーキではない」
しかし、珍しく食べた後に不満が出た。さすがに味にケチはつけなかったものの、巷の商業クリスマス的なものを求めてやってきた彼にとって、これは美味しくても方向性が違う。
「ケーキねえ。ギリシアのクリスマスはケーキよりグラビデス(アーモンドクッキー)じゃねえの?」
「200年以上も封印されていたのだぞ。近代的スイーツを所望して何が悪い」
ふんぞり返っているタナトスの態度は、まるで正当な権利を主張しているかのようだ。適当に対応をして追い払うつもりでいたデスマスクは、仕方なく根本的解決を目指すことにした。
「アンタの言い分はわかった。だがオレはアンタの好みを知らねえし、きっちりしたケーキを作るには下ごしらえをする時間も足りん。それよりは、デパ地下で好きなものを選んだほうがいい。今から連れて行ってやる」
「デパ地下とは何だ」
「女神の育った国では、デパートの地下階をそう呼ぶ。スイーツ店が入ってることが多いから、クリスマスのこの時期は選びたい放題だぜ。ただし、ちゃんと現代の格好をして、神であることは隠してくれよ?」
思わぬデスマスクの提案に、タナトスは一瞬目を丸くするも、すぐに興味がわいたのか眼を輝かせる。
「ふむ、虎穴に入らずんば虎児を得ずという。ケーキが欲しければ塵芥どもの集まるデパートへ潜入せよということだな」
「多分、街に出ればイベント気分も味わえる。ケーキ以外にも欲しいものがあれば買ってやるぞ」
だんだん突っ込むのも面倒になってきたのか、スルー耐性のついてきたデスマスクだった。そして、そろそろ地が出てしまい、神への言葉遣いではなくなってきているが、幸いタナトスは気づいていない。
ちなみに、購入費用は接待費として落とすつもりでいるため、気前だけは良かった。
街を巡ってクリスマス気分を堪能させ、文句無く美味いケーキを土産として持たせれば、おそらくタナトスは満足するだろうとデスマスクは見積もる。
気難しいタナトスを怒らせぬよう、また飽きさせぬような綿密なルートを脳内でシミュレートしつつ、気合をこめて拳をぐっと握り締めた。

結果的に、連れ出されたタナトスの反応は大変良かった。
話題のミュージアムやイルミネーション、映画などをみせたあと、ヒュプノスへのプレゼントを一緒に選んでやり、自身も携帯ゲーム機とゲームソフトをセットでタナトスへ購入してやる。
宝石のようなケーキの並ぶショーケースの前で、タナトスが「全店舗、全種類2個ずつ」などと言い出したときには冷や汗をかいたが、気に入ったがゆえの言動と思えば可愛いものだ。
性格のあまりよろしくない元敵神であるとはいえ、自分のエスコートによって子供のように上機嫌になっている姿を見るのは、デスマスクにとっても悪い気分ではない。いや、悪くないどころか、かなり気分がいい。
(結構可愛いところもあるじゃん)
そんな風に思ってしまったデスマスクは、根っからの世話焼き体質である。


それゆえ、タナトスとの巡回ルートが実質的に『男二人によるクリスマスデートコース』であったことに気づいて撃沈するのは、翌日それを話したカノンに突っ込まれた時になるのであった。

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蟹とタナトスの組み合わせも大好きなのです(>ω<)
このあとタナトスにケーキの土産を渡されるヒュプノスは喜びますが、1日デスマスクと一緒だったことを知ると、ちょっと複雑な気持ちになりますよ。でも「今度はお前と行く」というタナトスのひとことで機嫌直しますけど!

朝食のあと、寒くてちょっと布団にもぐるだけのつもりが、気づいたら午後になっていてあわあわ。でも今から夜までまた多分寝るという駄目人間。寝正月ならぬ寝クリスマス(…)。
冬のヒュプノス様が強力すぎるのが悪い。
昨日の続き(>ω<)
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「何か良いことでもございましたか」
機嫌のよさそうなタナトスへ、サガは愛想よく紅茶を差し出した。自死をした彼はもともとタナトスの性質に惹かれる傾向があるが、タナトスが風呂用アイテムの土産を持ってきたことで、一気に好感度を上げている。
隣ではカノンがそっぽを向いてソファーに座っていた。こちらは諸所不満があるものの、海将軍筆頭として外交の一貫と割り切ることにしたようだ。サガがカノンの前にもティーカップを置く。
タナトスはカップを取り上げ、紅茶の香りを楽しんでから口をつけた。上質のアッサムティーだ。一口含んで喉を潤し、満足そうに余韻を味わっている。
「ふ、機嫌よくもなろうというもの。聞けばお前達塵芥は今日滅ぶそうではないか。ハーデス様もお喜びになるだろう。オレは忙しくなるが、そのまえに風呂で英気を養おうと思ってな」
カノンががたりと立ち上がった。サガもさすがに引き締まった表情となる。
「何かのお間違えでは…」
それでも穏やかに尋ねたのは、僭称ながら教皇職を務めた貫禄だ。
「そんなことはない。お前達の情報ツールであるインターネットとやらに書いてあったぞ」
サガは怪訝そうな顔をしたが、カノンの方は目を瞬かせたあとソファーに腰を下ろした。そして、努めて喧嘩口調ではなく外交的な姿勢で話しかける。
「マヤ暦による『人類滅亡の日』は…いくぶん人間による予言ゆえ、精度に欠けますが、とりあえず風呂にでも入って滅亡までの時間をお待ち下さい」
まっっっっっっっっっっったく信じていないカノンであった。しかし、地上に現れた死の神のせいで、万が一にも滅亡の可能性が上がるよりは、双児宮で接待漬けにしておいたほうが良いとの判断をしたのである。
さらに、タナトスの地上来訪にヒュプノスが伴っていないということは、ヒュプノスは信じておらず、タナトスの夢を壊さぬよう何も言及しなかったのだろうなという背景まで読み取っていた。
「ふふ、珍しくしおらしいではないか。いつもそのような態度でいろ」
尊大な態度のタナトスへ、内心で(うるせーバーロー)と返しつつ、カノンは茶菓子をタナトスのほうへ差し出した。
事情のわからぬサガは、判らぬなりにカノンの対応を見て大丈夫と判定したらしい。座りなおし、紅茶を口にする。

柚子の香りの充満した双児宮で、『滅びぬではないか!』とタナトスが怒り出すまでには、まだもう少し時間があった。

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昨日会社へ行ったら
「世界が滅ぶと思ったから、団体のお迎えの準備してなかったのに!」
「いやそれ単にやってなかっただけだよな」
という会話がなされていて、そういえば昨日世界が滅ぶ予定だったことを思い出しました。セルビアでは世界滅亡特需で滅亡を逃れられるとされる地域のホテルが満室だったとか。いいなー。

今日もぱちぱち有難うございます!お返事後ほどとか書いておいて遅れていて申し訳ありません(>△<;)こ、今夜こそは…!
今年の年末年始は年をまたいで10連勤決定!(T▽T)
うう、今から小宇宙を溜めておかないと。
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巨蟹宮を守るデスマスクは、黄泉比良坂から近づいてくる強大な小宇宙を感じて反射的に身構えた。タナトスの小宇宙だ。巨蟹宮には冥府入り口に接近する道があり、代々守護者が許可をすれば、その空間は十二宮へと繋がる。そのため、十二宮の住人と私的な交流のある冥界者が非公式に訪れる場合、このルートを使うことが多々ある。
もちろんデスマスクも無条件に通行を許しているわけではなく、彼なりに毎回通行チェックは行っているのだ。幸い今のところ敵意をもって押し入るような者はいない。しかし、タナトスレベルの存在が万が一狼藉を働いたならば、デスマスク一人ではとても抑えられない(多分ほかの黄金聖闘士でも無理だろう)。
それゆえ、デスマスクが緊張するのも無理は無かった。
ただ、神は嘘をつかない。なので、デスマスクはいつも簡単に来訪の理由を尋ね、聖域や女神に害意なしとの回答が得られた場合には、素直に通すことにしていた。

今回も形式的な問答のあと、道を開いたデスマスクは目を点にした。
神々しく(そして禍々しい死の気配も振りまきつつ)現れたタナトスの後ろに、大量の柑橘類が浮かんでいる。厳密には魑魅魍魎たちが1匹につき1つずつ抱えて飛び回っている。タルタロスフォビアの弾代わりとなる下級霊たちだ。実の大きさはオレンジよりも大分小さいだろうか。巨蟹宮がいっきに柑橘類の香りにつつまれた。
悪い香りではない。むしろ涼やかなのだが、見た目がちょっと、いや、かなり異様である。おそらく小型トラック1台分の実が飛んでいる。
「あー、タナトスサマ。これ、ナンデスカ」
確認を入れたのは、守護者としての職務もあるが、つっこみが先に立った感がある。
「ふ、そんなことも知らぬのか。今日は冬至であろう」
「……ああ、そーデスね」
デスマスクはイタリア人であるが、東洋文化には造詣が深く、柚子湯の存在くらいは知っている。
(それ、アンタの嫌いな塵芥どもの行事ですけど)
言いかけた台詞を胸のうちにおさめ、顔だけはにこやかに相対する。
タナトスは上機嫌だ。
「お前の宮は負の気が充満していて過ごしやすいが、風呂が今ひとつゆえな。双児宮のものを使おうと思い、土産を持ってきてやったということだ」
「それは双児宮の連中も喜びますね」
十二宮はお前の別荘じゃねえぞ!という心の突っ込みもなんとか我慢する。天然のサガは喜ぶかもしれないが、カノンは多分暴れるだろう。聖戦後の三界和議のあと、タナトスは当然のように聖域へも遊びに来る。暇なのだろうか、どうせならニンフのねーちゃんたちも一緒に連れて来てくれればいいのにとデスマスクなどは思う。
まあ、人間を塵芥扱いしていた頃に比べれば格段の進歩ではある。以前は本当に人間を塵芥と思っていたタナトスが、現状ではミジンコくらいには扱いを変えている…口では相変わらず塵芥扱いではあるが。
「それにしても、珍しいですね。人間の行事に合わせてのご来訪とは」
巨蟹宮の出口へデスマスクが接待しながら案内すると、タナトスは得意そうに頷いた。
「この先のクリスマスとやらは、冥府に敵対する概念のイベントだが、冬至は夜のもっとも長くなる日。我々が地上をおとなうことに問題あるまい」
「えーと、その」
とうとう我慢できずにデスマスクは突っ込んだ。
「柚子湯ってのは無病息災を祈る習慣ですから、思いっきり死の神のアンタの意義には反すると思いますよ」
そう言った途端、タナトスの頭上を飛び回っていた魑魅魍魎たちから、デスマスクは次々と柚子をぶつけられる羽目になった。

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ぶつけられた分でデスマスクもあとで柚子湯にはいりました。うう、このあとの、双児宮でタナトスとサガが一緒に風呂にはいる話を書きたかったんだー!

今日もぱちぱちありがとうございます(>▽<)!拍手ご返信はのちほどさせて下さいね!
また深夜にパジャマ姿で夢中になって空を見上げていたのですが、寒さがちっとも気にならなくなっていたので、寒さも忘れるこの集中力凄い!って自画自賛になりかけてたんです。でも、ヤフーで現在気温をみたら7度もありました。それじゃ大して寒くもないはずですよね…。

そんなこんなで流星ネタ。
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十二宮を登りつめた場所に据えられている教皇宮の、さらにその奥、最深部であり最重要拠点である女神神殿で、シオンは夜空を見上げていた。隣では緊張した面持ちの少年が控えている。黄金聖闘士・双子座のサガであった。まだ年若いながら、既に神のようだと巷で囁かれる彼も、このような場所までの立ち入りを許されることは滅多にない。気の引き締めを表す研ぎ澄まされた小宇宙が、冷えた空気を通じて伝わってくる。
「ふむ、今年は空の機嫌が良いようだ。流れる星の姿もはっきりとしておる」
のんびりとも聞こえる声で、シオンが呟く。
それに合わせるようにして、流星が一筋走り、光の軌跡をみせる。
双子座流星群だ。今日から数日のあいだ、双子座付近を基点とした放射状の流星群があまたに出現する。
「星見を教えるには最適の夜であろう」
びくりとサガの肩が反応し、天使とみまがう美しいかんばせが上げられた
「星見は教皇がスターヒルで占術する秘事では?」
「そのとおりよ。しかし、教皇の専売特許でもない」
「そうなのですか」
「考えてもみるがいい。星の伝える天啓や知識を、教皇のみが独占した場合のリスクを。教皇の解釈が誤っていたり、これは滅多になかろうが…故意に歪曲された場合に、正せるものがおらぬのは危険なことだ」
サガは困ったようにシオンを見上げている。
「貴方は間違えたりなさいません」
「買いかぶるな。教皇とて人の子よ」
それは、人間の限界を諭し諌めたものであったが、まだ幼いサガにはシオンが謙遜を言ったようにしか聞こえていなかった。また、己が教皇の後継者として星見を伝授されるのだという、晴れがましい誇りに溢れてもいた。
(わたしもシオン様のように、決して誤ることのなき教皇になろう)
星空を映した瞳は、純粋にきらきらと輝いている。
シオンは夜空を指し示した。
「見よ、今宵はそなたの守護星座が天を支配しておる。それゆえ、流れる星ごとに語られる未来や事象を、双子座であるそなたなら見極めやすいはず。心を宇宙に同調させ、まずは流星を順番に1つずつ読み解いてみせよ。星は幾らでも流れる。練習にはもってこいぞ」
「はい!」
サガはシオンの指導のもと、ゆっくりと小宇宙を開放していった。



「今思えば、あの時からシオン様は、わたしに新教皇の補佐となって星見の手助けをせよと言外に伝えていたのだ」
夜空を見上げながら、サガがぽつりと呟いた。
隣ではカノンが、肩を並べて空を見上げている。
「それをわたしは、自分が次期教皇として認められたのだと、舞い上がっていた」
話す口元から吐かれる息は白い。標高のたかい双児宮の前から見上げる星空は、寒さに比例して美しく澄み切っている。
「オレはそう思わん。いや…そうでなかったとは言わないが、じじいも迷ってたんじゃねえかな。どちらにするかは」
視線の先には、冬の第三角形が浮かんでいた。カノンはその三角形を指先でなぞり、ゴールデントライアングル、などと冗談めかす。
「カノン、お前はまたあの方をじじいなどと」
「じじいだろ、外見だけは18歳になりやがったが」
「そうではない。呼び方を改めろと言ったのだ…まったく、真面目な話をしていたというのに」
ぶつぶつとこぼすサガへ、カノンがやわらかな視線を向ける。
「お前、めったにそういう話をしなかったよな」
「そういう話とは?」
「心のうちを明かすような話」
「そうだろうか」
「そうさ!だから、少し驚いている。そして…認めたくないが大分嬉しい」
サガが腑に落ちないという顔をしている。
天空でまたひとつ、星が流れた。

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実は生まれて初めて流れ星を見たので舞い上がってます(>▽<)
一緒に見た母も初めてということで、親子で舞い上がり状態でした。
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